総合人間科学系研究紹介2024
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情報基盤センター情報基盤センター研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像原嶋 秀次 教授豊橋技術科学大学大学院工学研究科修了。株式会社東芝に入社。自律分散データベースの研究�開発に従事。電気通信大学大学院博士課程を修了し博士(工学)取得。2020年信州大学に着任。松村 宣顕 講師静岡大学大学院博士課程修了。博士(情報学)。民間企業勤務後、2008年に国際協力機構の青年海外協力隊に参加。ブータン王立大学勤務。帰国後、静岡大学情報基盤センター等を経て、2019年信州大学に着任。16コンピュータの世界の仕事と人間の世界で行われている仕事を融合して管理することで、便利で確実な社会システムの構築を目指す管理対象のモデル化や他の方式と比べた時のコスト比較などをおこない、現実的で有用な利用方法を提案開発した統合リスクマネジメント用ソフトウェアの例セキュリティインシデント対応組織に関するネットワーク分析例スマートフォンの位置情報を使って人の流れを調べたり、気象や交通機関の運行状況などをコンピュータに取り込めるようになり、その応用は広がりつつあります。AIやビッグデータ分析で解析し、混雑緩和や安全確保などを行おうとするサイバー・フィジカルシステムが注目されています。サイバー・フィジカルシステムでは、コンピュータの世界でやっていることと人間の世界でやっていることの連携が重要になります。これを、コンピュータ科学の研究テーマである“トランザクション”の概念を拡張して適用することで、複雑な連携を確実に実行するしくみを実現しようとしています。情報学の分野は多岐にわたりますが、主に、情報基盤のリスクマネジメントに関する研究をしています。広義のリスクマネジメントはリスクを把握した上で、発生をできるだけ少なくし、発生した場合はその影響を最小限にとどめるようにすることです。情報基盤の適切なリスクマネジメントは社会安定のために重要です。研究では、リスクマネジメントに関連する評価項目の分析、科学的根拠に基づく手法の提案、さらに、ソフトウェア開発を行っています。この他、効率的な情報基盤の開発運用、情報基盤に蓄積されたデータの分析、社会ネットワーク分析、そして、情報技術による遠隔教育などに携わっています。AIやオンラインショッピングなどの華やかな世界を、理論的裏付けのある電力技術が支えています。これと同じように、コンピュータ・ネットワークの世界で理論的に裏付けのある基幹技術がぜひとも必要です。大学での研究をもとに、社会に役立つ新たな基幹技術をつぎつぎと開拓する人を育てます。通貨やパスポートなどの制度により、私たちは安心して買い物や旅行ができます。これと同じように、システムが出した結果が社会で正式に認められたり、人間が要求したことをシステムで確実に実行されれば、旅行の手配をコンピュータに任せたり、オンラインショッピングで購入したチケットを疑われることなく使うことができます。これによって、人間とICT技術の共存の道を拓こうとしています。セキュリティインシデント対応組織に関する「処置優先方式」の開発により、運用経験の少ない組織に是正処置の優先順決定法とその理論的根拠を提供します。情報セキュリティとITサービスに関する統合リスクマネジメント手法により、情報基盤の効率的で堅牢な運用が社会に浸透し、安全で快適な情報社会の進展に寄与します。情報技術なくしては成り立たない時代となりました。情報技術に関する基礎力を涵養し、情報技術が内在する社会生活に役立ててほしいと願っています。自身の専門分野に留まらず、他分野や海外など多様な背景をもつ方々との交流を通して視野の広い社会人になってもらいたいと思います。総合人間科学系情報基盤センター総合人間科学系情報基盤センターコンピュータの世界と人間の世界の融合Evidence-based management:科学的根拠に基づく情報基盤の管理

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