研究紹介_2024_日本語版(工学部)
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電⼦情報DNAストレージに対する現代的な符号理論の展開(日本学術振興会64研究キーワード研究から広がる未来研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績最近の研究トピックス符号理論・符号設計・確率伝搬法・確率的同期法・次世代ストレージ卒業後の未来像現在、生成されるデータは飛躍的に増加しており、データ通信量や蓄積データ量の要求も指数関数的に増加することが予想されています。柴田研究室では、高速・高信頼なデータ伝送と、大容量・高密度・長寿命なデータ保存を実現する次世代情報通信システムの構成要素となる、誤り訂正・検出技術の開発を目指しています。特に、次世代ストレージ(例えば、DNAストレージ)へのモダンな誤り訂正符号の適用や、符号化を利用した物理層セキュリティ技術、深層学習技術を活用した誤り訂正符号等の研究に注力しています。研究活動は、専門知識とスキルの獲得に加え、問題解決能力、分析・批判的思考、コミュニケーション力などのライフスキルの獲得にも貢献します。これにより、どんな職場・立場でも優れたパフォーマンスを発揮できる人材に成長することが期待されます。「挿入・削除誤り訂正」:次世代情報通信システム(例えば、DNAデータストレージ) では、データ挿入や削除(下図) により同期ズレが生じ信頼性が大きく低下します。このような誤りに適した誤り訂正符号、確率的な同期法(挿入・削除位置の推定)、及び確率伝搬法に基づく復号法を開発しています。「符号設計・構築」:伝送路の特性に合わせた誤り訂正符号のパラメータ設計や符号構築を目指しています。特に、5Gで使われているLDPC符号やPolar符号を扱っています。「その他」:物理層セキュリティ技術・多重アクセス方式のための符号化法、深層学習技術に基づく符号化法等を開発しています。↑LDPC符号を定義する2部グラフ構築← LDPC符号パラメータ設計のための漸近性能解析2020年東京理科大学大学院工学研究科修了、博士(工学)。同年同大学工学部情報工学科助教。2023年より現職。符号理論、特に確率推論と疎行列に基づく誤り訂正符号の研究に従事。誤り訂正符号化システムの開発(モデル化、及びその解析)確率伝搬法(Belief Propagation)に基づく復号アルゴリズムデータ挿入・削除誤りに対する確率的同期アルゴリズムLDPC (Low-Density Parity-Check) 符号/空間結合符号/Polar符号の性能解析・符号設計・符号構築次世代情報通信システム向け誤り訂正符号の開発(他大学との共【受賞】電子情報通信学会通ソ、第17回通信ソサイエティ論文賞(2022年)電子情報通信学会SITAサブソ、SITA若手研究者論文賞(2020年)電子情報通信学会、第76回論文賞(2020年)電気通信普及財団、第35回電気通信普及財団賞(2020年)【社会貢献】電子情報通信学会情報理論研究専門委員会、委員(2021年~)助教柴田凌実世界とサイバー空間の融合が進む未来において、データの高速・高信頼な伝送と、大容量・高密度・長寿命なデータ保存は必要不可欠です。私の研究室では、未来の世界を支える次世代の誤り訂正・検出技術の開発を目指しています。【私の学問へのきっかけ】子どもの頃は図鑑が好きで、よく眺めていました。しかし、高校生になると理系に進んだものの、理数系があまり好きではなく、「将来は理系とは離れた職に就こう」と考えていました。とはいえ、工学部へ進学しました。受験勉強とは異なり、大学の研究では必ずしも答えがあるわけではありません。こうした問題に対して、「自ら問いを立て、自らゴールを設定できる」ことの楽しさと自由さに魅了され、知らずのうちにここまで進んできました。科学研究費助成事業若手研究、2021年~2024年)同研究、2023年~)図:DNAストレージに対する誤り訂正符号化(効率的かつ化学的に安定する塩基配列生成方法や、高速な再構成方法等を研究)図:論文賞受賞の記念として授与された賞牌システム⼯学科AI/IoT時代の誤りを乗り越えろ︕⾰新的な誤り訂正・検出技術を求めて

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