研究紹介_2024_日本語版(工学部)
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⼯学基礎部⾨これまでは、プラズマを巨視的に流体としてみてその挙動を調べるという観点から研究を進めてきましたが、最近はVlasov-Maxwell-Boltzmann方程式の安定性解析にも取り組んでおり, 微視的な視点からもプラズマの研究を進めています。博士課程在学中は, 低正則関数空間上でのHall-MHD方程式の解の安定性解析に取り組んでいましたが、最近ではそれに量子修正を施した方程式の解析にも取り組んでいます。その数学解析をする上で必要な、新しい調和解析的手法の開発にも取り組んでいます。低正則関数空間におけるMHD近似の数学的正当化圧縮性粘性流体(圧縮性Navier-Stokes方程式)や気体液体相転移モデル(圧縮性Navier-Stokes-Korteweg方程式)の定常状態周りでの解の漸近安定性,長時間漸近挙動Vlasov-Maxwell-Boltzmann方程式の安定性解析と電磁流体近日本学術振興会 令和4年度 若手研究日本学術振興会 特別研究員-DC2 研究集会「 International Workshop on Multiphase月、早稲田大学)での研究発表の様子量子修正Hall-MHD方程式の学術論文作成風景119研 究 シ ー ズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード研究から広がる未来Navier-Stokes⽅程式, Hall-MHD⽅程式, 量⼦流体卒業後の未来像最近の研究トピックス私が修士課程在学中の頃から力を入れて取り組んでいるのは、磁気流体方程式(MHD方程式とも呼ばれる)やHall効果を伴うプラズマ流の数学解析であり、その特徴として、偏微分方程式を代表する放物性・双曲性・分散性など様々な性質が混合した形で方程式の解に影響を及ぼすことが、これまでの研究で明らかになりました。プラズマ流体の研究は太陽フレア発生のメカニズムの解明や核融合炉の制御など応用が広く、これらのある種特異な物理現象を数式を用いて厳密に解明したいという興味のもと、日夜研究に取り組んでいます。信州大学工学部で数学を学ぶメリットとしては、工学・物理への応用を意識した、実用的な数学を学べることであると考えています。卒業後はここで学んだ数学を活かし、企業や研究機関などで活躍できる人材の育成を目指しています。これまではプラズマ流体モデルの安定性解析に力を入れて取り組んでいましたが、これからは不安定性解析の方にも力を入れていきたいと考えています。まだ数学の論文は少ないですが、磁場の抵抗がないnon-resistiveモデルやHall-MHD方程式が不安定となる定常状態の特定を目指して、研究に取り組んでいきたいと考えています。東北大学大学院理学研究科で学位(理学)を取得した後、東北大学や早稲田大学の研究員を経て、2023年より現職。専門分野は偏微分方程式論であり、ミレニアム問題として著名なNavier-Stokes方程式やMHD方程式の数学解析に取り組んでいる。Hall効果や伴う量子修正MHD方程式の解の安定性・不安定性似の数学的正当化ホール効果を伴うプラズマ流体の数学解析2022年4月1日–継続中磁気流体方程式系の解の適切性と爆発判定条件について 2019年4月1日-2021年3月31日助教中里 亮介私が研究しているMHD近似やHall-MHD方程式の安定性解析は、核融合炉制御シミュレーションのモデルとして、プラズマ流体モデルは妥当であるかという問いへの回答を与える為、これからの核融合研究の発展に大きく寄与すると考えています。【私の学問へのきっかけ】子供の頃からコツコツ積み上げる系の作業やTVゲームが好きでした。数学科に入学してからの講義でやった、命題や定理の証明を積み重ねるという学習が、まるでRPGのレベル上げみたいに思えてのめり込むことができました。また自分で問題が解ける度により難しい問題に挑戦したいと思い、それが研究職を志すきっかけになったと思います。 Flows:Analysis, Modelling and Numerics 」(2022年12【写真&写真キャプション】写真フォーマット:上下2つのエリア分。幅約311px程度の画像キャプション文字数:各28文字程度プラズマ流体の数学解析〜Macro・Micro両視点からのアプローチ〜

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