研究紹介_2024_日本語版(工学部)
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⼯学基礎部⾨東京大学卓越研究員(公募型)、6,000,000円、(2020/1-2021/3)日本学術振興会特別研究員SPD、11,700,000円、(2018/4-2021/3)研究活動スタート支援「宇宙初期起源コンパクト連星からの重力」、第94回早川幸男基金、220,495円、2016/6/10日本学術振興会特別研究員DC1、2,900,000円、(2013/4-2016/3)116准教授⾐川智弥研究キーワード研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績宇宙、連星進化、初代星、ブラックホール、中性⼦星、重⼒波、超新星爆発、初期宇宙、天⽂学研究から広がる未来卒業後の未来像最近の研究トピックス衣川研究室では、この宇宙に存在する連星(恒星同士のペア)について理論計算を行っています。宇宙に存在する星の半数以上は連星であり、宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストや連星ブラックホールの合体による重力波など宇宙で起こる様々な面白い現象に連星が密接に関係しています。これら天体現象の謎を解き明かすために連星がどのような運命をたどるのかを解明することが本研究室のメインテーマとなります。特に宇宙初期の天体起源の連星は重力波や宇宙初期の観測で注目されており、宇宙初期の連星進化についても精力的に取り組んでいます。自分の興味のあることを見つけ、それをひた向きにやってみるというのは人生でそう多くできることではありません。ぜひ学生のうちに好きな研究を見つけてチャレンジし、思考力と行動力を兼ね揃えた社会人になりましょう。研究を通じて得た問題設定能力、論理・思考能力、解決能力、プレゼン技術は研究だけでなくあらゆる分野でも応用できます。研究自体は産業と直結してるように見えなくとも、そこで得た能力で社会で活躍している先輩が多くいます。皆さんも是非そのあとに続いてください。この宇宙の星の半数以上は伴星を伴う連星系をなしています。太陽のような単独星の場合、星の進化は形成環境の金属量と生まれた時の質量によって一意に決まります。しかし、連星の場合は伴星との質量交換により星自体の質量が変わるため、星の運命が大きく変わっていきます。連星間相互作用による質量の変化は軌道が近いほど大きくなりますが、軌道要素も潮汐力や磁気制動といった様々な連星間相互作用によって変わっていくため、質量の変化具合も千差万別であり、進化の仕方も多様性に富み、謎が多く残っています。連星が引き起こす天体現象も多種多様であり、重力波観測、高エネルギー天文学、位置天文学、電波観測、赤外線観測といった幅広い分野の観測と関連しているホットトピックです。しかし、各々の分野で観測される天体現象にのみ注目した研究は多くありますが、連星進化という観点から各分野を縦断した研究はまだそこまで行われていません。そこで、私は多くの天体現象に関連する連星について様々な観測結果を相補的に組み合わせ、理論と比較検証することで明らかにできないかと考えています。京都大学大学院博士課程修了後、東大宇宙線特任研究員,日本学術振興会特別研究員SPD,東大宇宙線助教を経て現職。井上研究奨励賞、平成30年度文部科学大臣表彰若手科学者賞等受賞。趣味は古武道、ゲームと犬猫。連星進化計算による重力波源の解明重力波天文学による宇宙初期天体の解明重力波と多波長観測を交えた天文学のサイエンスターゲットの提案天体現象についての数値計算東京大学国立天文台京都大学ヴァージニア工科大学福岡大学筑波大学甲南大学基盤研究C (分担者)「Understanding the impacts of binary interactions on multi-messenger probes of core-collapse supernovae」4,160,000円、(2022/4-2025/3)若手研究「連星進化理論を用いた重力波天体起源の解明」4,290,000円、(2021/4-2024/3)2,600,000円, (2016/8-2018/3)連星進化の一例。恒星は最初は太陽のように水素の核融合で燃えている。その水素が枯渇すると赤色巨星といった異なる進化段階へと進化していく。その果てに超新星爆発を起こし、中性子星やブラックホールといった不思議な天体が宇宙空間に残っていく。そして、連星の進化過程で超新星爆発やX線連星、重力波放射といった多種多様な天体現象が起こっていく。【私の学問へのきっかけ】小さなころからSF映画や漫画が好きでなんとなく宇宙や研究って楽しそうだなと思っていたら、いつのまにかこんな風になってました。日々好きなことを楽しく行っていることが学問のきっかけと言えるのかもしれません。宇宙の星々の運命を探る

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