人文学部研究紹介2023-2024
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日本語という普段は意識しない身近な存在に取り組むことで,常識だと思っていることを改めて問い直す批判的な思考力を養います。そこから,世の中を冷静に分析しつつ,相手に考えを伝わりやすく{言える/書ける}能力(これはあらゆる場面で必要となるものです)が活かせる業種での活躍が期待できます。中澤光平(2023)「日琉祖語アクセント体系の再建試論」『信州大学人文科学論集』第10号-2: 71-91.中澤光平(2023)「南琉球与那国方言における動詞のアクセント交替の通時的考察」『国立国語研究所論集』24: 169-194.中澤光平(2022)「南琉球与那国方言の撥音化と喉頭化音化」『東京大学言語学論集』44電子版: 80-101.中澤光平(2022)「岡山県備前市日生方言のアクセント資料」『日本語学論集』18: 210-236.中澤光平(2022)「与那国方言の音韻変化と形態変化」『国立国語研究所論集』22: 89-111.NAKAZAWA, Kohei & YOKOYAMA, Akiko (2021) Interesting sounds and sound changes in Japonic. In: Studies in Asian and African Geolinguistics, 93-101.中澤光平(2021)「淡路方言の音節融合の共時的・通時的分析」『東京大学言語学論集』43: 159-182.中澤光平(2020)「「キキビソ」考」『埼玉大学紀要. 教養学部』55(2): 115-128.所属学会:日本方言研究会,訓点語学会,日本音声学会,日本語学会,日本言語学会,東京大学国語国文学会,日本地理言語学会東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻(言語学専門分野)博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。国立国語研究所言語変異研究領域プロジェクト非常勤研究員、東京大学大学院人文社会系研究科助教を経て現職。39●現在の研究テーマ 日本語は地域的,時代的な多様性に富んでいます。その中でも私は主に日本語の音を対象に,地域的な研究としては琉球諸語(奄美・沖縄の言語)を含む現代日本語の諸方言の現地調査,時代的な研究としては「日本書紀」など昔の資料の解釈および現代の方言のデータに基づく日本語史の構築を行っています。 現在取り組んでいる主な研究テーマとしては次のものがあります。1. 日琉諸語(琉球諸語を含む日本の諸方言)の主に発音の体系,仕組みを明らかにすること。特に,日琉諸語に特徴的な高さアクセントについて,様々な振る舞いとその歴史的な背景を考察しています。2. 音変化に基づく方言間の歴史的な関係(系統関係)の解明。日琉諸語の話し手が日本列島へどのように移住し各地へ拡散していったかを,言語学的観点から明らかにすることを目指しています。3. 音と表記との関係。古文献だけでなく現代語(方言を含む)を表記した資料を含め,文字によって日琉諸語のどのような音の特徴が反映されているか(またはされていないか)について分析を行っています。日本語学,方言学,音声学 ●講師 中澤 光平

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