人文学部研究紹介2023-2024
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古典や歴史は,現代を生きる私たちとは切り離された遠い過去の遺物ではありません。自分たちは,遥かな過去から連なる歴史・文学史の最先端を生きているとの自覚を持って広い視野を保ち,未来への責任を自覚しながら,地に足の着いた思考能力を獲得してほしいと思っています。将来どのような道を選ぶとしても,そのような思考と人文知とは,きっと人生の大きな充実に繋がってゆくでしょう。《著書》『近世前期江戸出版文化史』(単著,文学通信,456p,2020年2月)『仮名草子集成』第67巻(柳沢昌紀,花田富二夫,冨田成美,速水香織編,東京堂出版,pp.121-195,2022年4月)《論文》「江戸書肆山口屋権兵衛の出版活動と上方浮世草子」(単著,『日本文学研究ジャーナル』21号,pp.96-110,2022年3月)「高照神社ゆかりの古典籍―「高岡御蔵書」印をめぐって―」(単著,『東奥義塾高等学校所蔵旧弘前藩古典籍調査集録』5号,pp.29-38,2019年2月)「真田宝物館蔵木板本「二十一代集」の伝来」(速水香織,白井純著,『松代』32号,pp.1-16,2019年1月) 所属学会:日本近世文学会,日本文学協会,鈴屋学会,東海近世文学会,日本出版学会2007年皇學館大学大学院博士後期課程国文学専攻修了。中京大学国際教養学部非常勤講師,同朋大学文学部非常勤講師,皇學館大学教育開発センター助手,同文学部助手を経て,2013年信州大学人文学部准教授,2023年より現職。博士(文学)。35●現在の研究テーマ1. 江戸時代は,出版文化の発達に伴い大きな社会変容が起こった時代です。それは,人間の生き方・心のありようを映す文芸の内容にも顕れているとの観点から,特に17世紀に成立した浮世草子などの諸文芸や実用書ついて調査分析を行い,当時の人々の考えやものの感じ方の変容,さらには江戸から明治に至る,時代の大きな流れを明らかにしたいと考えています。2. 江戸時代の木版本を中心に古典籍の調査を行っています。最近は,長野県内に点在する古典籍の書誌調査や写真資料の調査を通じ,江戸時代から現代へと繋がる情報の伝達・保存の問題を考えています。日本近世文学・出版文化研究 ●教授 速水 香織

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