農学部研究紹介2023
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(写真一枚or複数枚組み合わせ)(写真一枚or複数枚組み合わせ)キャベツの根が‘根瘤病’に感染すると瘤状になり、十分な養分を吸収できなくなるため、球が小さくなり出荷できなくなる(左上)。緑肥作物(右上)を栽培した後作のキャベツは根の瘤も少なくなり、生育も良好で球も大きくなる(右上)。西アフリカのサヘル地域の土壌(左上)は極端な砂質土壌で低肥沃度である。肥沃度改善のために作物残渣など肥料として畑へ運搬して(右上)、作物を栽培しているが(右上)、肥沃度改善にはより多くの有機物投入が必要である。1998年より信州大学農学部勤務。2002年から10ヶ月、オランダ・ワーゲニンゲン大学客員研究員。植物遺伝資源の保全・評価・開発研究や民族植物学的調査研究に関心がある。海外での調査研究も数多く行っている。現在、研究しているアマランサスの花序(左)と種子(右)。種子中には多くの栄養成分を含み、高い環境適応性をもつ。ブルキナファソでの現地調査(左上)、ネパールでの試験圃場の様子(左下)、長野県下伊那郡に伝わる清内路あかね(右)栽培土壌学研究室鈴木香奈子助教国際農林水産業研究センター、国際熱帯農業研究所(IITA)を経て2019年4月より信州大学農学部。アフリカの土壌肥沃度改善や国内の土壌保全についての研究に取り組んでいる。作物栽培、またそれを育む基盤である土壌を保全することの重要性について学んでもらい、農業生産物の安全性や持続的な食料供給について取り組んでいける人材を育成したいと考えています。また、地元長野をはじめとする日本国内や海外の困窮している国々など、様々な地域における農業発展に寄与できる人材を育みたいと考えています。植物遺伝育種学研究室根本和洋助教研究から広がる未来土壌は農業生産の基盤であり、全ての生命が生きていくための重要な基盤です。人間の利益だけを求めた土壌利用は土壌を荒廃させていきます。近年、その問題が徐々に現れ始めており、有機物を利用した土壌保全について見直されています。土壌を保全すること、これが持続可能な農業生産を生み出し、未来の子供達が生きていくための食料供給につながると考えます。卒業後の未来像研究から広がる未来私たちは、植物遺伝学、植物育種学、分子生物学といった学問分野をベースにして、育種学の理論と技術を応用して、作物の遺伝的改良に関する調査研究を進めています。社会のニーズに見合った育種目標を掲げ、世界の農業・食糧問題に貢献することを目指しています。また、国内はもとより海外での現地調査も積極的に実施しており、将来、海外の農業研究の現場で活躍できる人材の育成にも努めています。卒業後の未来像フィールドでの対象作物の栽培試験から、ラボでの遺伝解析や成分分析等、植物育種に関する幅広い調査研究を通じて、基礎的技術と応用の両方を習得します。卒業後は、種苗会社、食品関連企業、公務員研究職等で活躍できる人材になります。栽培土壌学研究室では、土壌を保全しながら持続可能な農業生産を行っていく方法について模索しています。研究内容としては、緑肥作物を利用した土壌病害の発症軽減の効果を明らかにすること、未利用の廃棄物が土壌保全や肥沃度改善に及ぼす影響を明らかにすることです。研究対象地域は、国内においては長野県の高冷地・準高冷地地域など、国外においては、西アフリカのサヘルと呼ばれる半乾燥熱帯地域などです。全ての生物の生きる基盤である土壌を守ることに重きをおいて研究を行っています。途上国における食糧・栄養問題を解決する、また、有用な機能性成分を多く含み私たちの食生活をさらに豊かにする、そのような可能性を秘めつつもあまり知られていない作物が世界にはまだたくさんあります。当研究室では、これらの低・未利用資源作物に光を当て、育種学的観点から遺伝的改良に取り組んでいます。同時に、急速に失われつつある在来作物資源を次世代に残すべく、保全遺伝学的アプローチによる研究を進めています。私たちは研究対象となる作物について、フィールドでの調査とラボでの分子生物学的手法による幅広い研究を展開しています。植物資源科学コース植物資源科学コース低・未利用資源作物を遺伝的に改良し、在来作物資源を未来に向けて保全する有機物の活用による土壌保全と持続可能な農業生産の方法を追究する22

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