農学部研究紹介2023
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COOHOH育成したイチゴ新系統「おてんば娘」育成した極早生ライムギ「SUR-10」ワイン用ヤマブドウの品種改良と栽培・利用に関する研究加藤新平准教授日本学術振興会特別研究員(DC1/PD)ならびに海外特別研究員を経て2008年11月より信州大学農学部。植物が病原体(糸状菌、細菌、ウイルス等)から身を守る機構を解明し、病気に強い植物を創ることが目標。新系統LS-ⅡおよびLS-Ⅴ新系統LR-20育成した未出穂型ソルガム洋ナシの品種改良と栽培・利用に関する研究新品種「貴房」新品種「信大W-3」(左)サリチル酸の構造。(右)普通の植物(A)は病気に勝つが、サリチル酸を合成できない植物(D)は病気に負けてしまう(PlantCell11:1393–1404,1999)サリチル酸生合成/機能の分子機構の解明に日々挑戦している栽培学研究室春日重光教授長野県中信農業試験場、長野県畜産試験場等を経て、2002年4月より信州大学農学部。この間ソルガムなどの飼料作物の育種に従事してきた。現在は、飼料作物、園芸作物などの品種改良や栽培に取り組んでいる。植物病理学研究室研究から広がる未来私たちは作物の品種改良および作物栽培の立場から、実際の農業現場で利用可能な新品種の育成と栽培技術に関する基礎研究を行い、環境に調和した低投入持続型農業に寄与することを目指しています。各種農業資材や微生物資材等を用いた作物栽培の研究でも、実際の農業現場で利用可能な技術になることを心がけています。本研究室では今日までにソルガム、ライムギ、ヤマブドウ、イチゴ、洋ナシなどの新品種育成を行い、その栽培・利用方法の改良に励んでいます。卒業後の未来像作物の品種改良、栽培等に関する試験を通して、実際の作物および品種改良に関する技術と安全で効率的な農作業の方法が身につきます。卒業後は農業関係の指導員や種苗会社、食品会社等で活躍出来る人材になります。研究から広がる未来加藤新平研究室が研究対象としているサリチル酸は、植物の病気にも我々人間を含む動物の病気にも有効な生理活性物質です。研究室では、「植物が長い長い進化の過程で発明したこの生理活性物質を有効利用できれば、植物の病気あるいは動物の病気を防ぐ新たな方法を開発できるかもしれない」と考え、植物がサリチル酸を合成する分子機構やサリチル酸が植物の病気を防ぐ分子機構の解明に日々取り組んでいます。卒業後の未来像多くの学生は卒業後も大学院に進学し研究を続けています。大学院修了生は、学んだ専門知識を生かして、主に農園や食品会社で活躍中。研究室の方針が“自主性を重んじる”であるため、常に自分で考えて行動することが求められますが、その分卒業時には論理的に考え、自主的に行動する能力が備わります。サリチル酸栽培学(春日)研究室では、ソルガム、ライムギなどの飼料作物や水稲、ヤマブドウや洋なしなどの果樹類、イチゴなどの野菜類を素材として品種改良も含め、微生物資材や施設栽培なども利用した栽培方法の改善に取り組んでいます。環境に調和した低投入持続型農業を目標に、飼料作物では品種改良を基にした栽培・利用方法の検討を行い、水稲および園芸作物では微生物資材等を利用した低コスト高品質栽培に取り組んでいます。加藤新平研究室では“サリチル酸”という化合物に注目して研究が行なわれています。皆さんはサリチル酸をご存知でしょうか?サリチル酸は代表的な解熱鎮痛薬であるアスピリンの有効成分です。それでは、サリチル酸はどこから来たのでしょう?サリチル酸は植物に含まれる薬理成分として発見されました。植物において、サリチル酸は病原体と戦う抵抗反応を誘導する重要なシグナル物質です。植物がサリチル酸を合成する機構が明らかになれば、病気に強い植物や次世代型の農薬、食べる解熱鎮痛薬の開発に応用できるかもしれません。植物資源科学コース植物資源科学コース作物の持つ力を発揮させる技術を探る-品種改良と栽培技術の改善を基に-サリチル酸は世界を救う!?~植物の病にもヒトの病にも効きます~20

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