農学部研究紹介2023
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先生のお写真画像や動画中からカキ果実を簡便に検出できる深層学習モデルの作動例。精度を向上させることで、収量予測や効率的な栽培管理につなげることができる。種子の小さな優良果実と大種子果実の判別モデルの検証。それぞれ外観に大差はないが、深層学習を応用した解析により果頂部・果柄部に特徴が認められる可能性が示唆された。宿主細胞を殺し、栄養を摂取する入枝泰樹准教授博士研究員を経て2016年10月より信州大学農学部。糸状菌(カビ)と植物の感染・防御機構を解明する研究に取り組んでいる。両者の生物間相互作用に着目した病害防除法の開発に繋げたい。炭疽病菌等の植物病原糸状菌(カビ)はそれぞれの宿主植物の免疫系を抑制して感染するウリ類炭疽病菌が感染したキュウリの葉(左)緑色蛍光タンパク質で可視化したカビの活物寄生型侵入菌糸(右)微生物植物相互作用学研究室果樹園芸学研究室見た目が良く、かつ美味しい果実の生産が求められる日本では、いわゆる篤農家的な栽培技術が多く発展しています。深層学習などの新しいアプローチを園芸学に取り入れ,そのような栽培技術の解析を行うことができれば、日本の優れた果樹栽培技術を客観的に評価し,普及させていくことが可能となります。美味しい果実がより手軽に生産・販売でき、多くの人にとって果実が身近なものとなる未来を目指して研究を行っています。大迫祐太朗助教2021年3月、京都大学大学院農学研究科博士後期課程を修了し博士(農学)を取得。同年4月より信州大学農学部。果樹園芸学を専門とし、温帯果樹から亜熱帯果樹まで様々な植物を対象に研究を行っている。幅広い研究対象を含む果樹園芸を学ぶことで、農学研究・農業生産における多角的な視点を育むことができます。また成長ペースがゆっくりな果樹を材料として研究に励むことで、目標に対して根気強く取り組み、大きな課題に対しても様々な見方から考え、解決しようとすることのできる人材になれます。研究から広がる未来炭疽病菌は非常に種類が多く、様々な植物に感染被害をもたらしている植物病原糸状菌(カビ)です。その感染メカニズムを完全に掌握し、植物が本来備える免疫系を十分に理解すれば、植物保護に大きく貢献できます。また、カビと植物の相互作用システムは学問としても魅力的な素材です。植物保護の観点に立ちながら学問を追求することで、新しい「糸状菌病防除技術の開発」と「自然界の真理の探究」を同時に行うことができると考えています。卒業後の未来像大学、研究所、企業等の研究従事者に必要な生命科学の基礎および専門の知識・技術が習得できます。また、論理性・問題抽出力および解決力・表現力等、社会で役立つ能力が磨かれますので、カビや植物に関連しない様々な分野でも活躍できる人材になります。研究から広がる未来卒業後の未来像「果樹園芸」とは、果実生産を目的とする園芸における一分野です。果樹園芸学分野では特に、「果樹」(樹に果実をつける植物)を研究の対象とします。果実生産のための基礎的な探求だけでなく、果実生産とそれに必要な技術開発といった応用までを含む幅広い分野です。そのような分野の中で、本研究室では園芸分野ではまだまだ未発達な新しいアプローチを取り入れ,栽培の効率化を果たす新しい技術の開発を目指して研究を行っています。現在は、深層学習技術を応用した簡便な優良果実の非破壊判別や病害・障害検出などに焦点を当て、優良果実の生産に必要な栽培技術の解析を目指しています。植物病害を引き起こす原因の70~80%は糸状菌(カビ)です。糸状菌病を防除するためには、病原糸状菌と植物の相互作用を深く理解する必要があります。本研究室では、多種多様な農作物に甚大な被害をもたらす炭疽病菌(Colletotrichum属菌)と、その宿主・非宿主植物を対象に、両者の共進化の結果である感染・防御戦略を研究しています。病原糸状菌はどうやって植物への感染を成立させるのか。そして、植物はどのように糸状菌の攻撃を防ぐのか。これらの課題を分子レベルで解明することを目指しています。10mm植物資源科学コース植物資源科学コース植物資源科学コースカビと植物が織りなす共進化両者の巧みな感染・防御戦略に迫るいままでにないアプローチから果樹栽培の新しい手法開発を目指す19

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