農学部研究紹介2023
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コモンマーモセット卵子卵子ES細胞iPS細胞ホールディングピペットインジェクションピペット徳武優佳子助教信州大学にて博士課程を修了。東北大学大学院助教を経て、2022年12月より現職。専門分野は動物栄養学、栄養生理学。栄養を介した動物・細胞のストレス防除の研究推進を目指す。富岡郁夫准教授東北大学、慶應義塾大学、実験動物中央研究所、国立精神・神経医療研究センターを経て、2020年より現職。専門は動物生殖学・発生工学・神経科学。肉用鶏(ブロイラー)の高い成長率を支える飼料は、いろいろな効果を発揮する可能性を秘めている。ニワトリの組織から得た細胞モデルを用いた実験も展開している。(左)胚から単離し、コラーゲンゲル上で培養した腸管上皮細胞。(右)ニワトリ幼雛から単離した骨格筋細胞。マイクロマニピュレーター哺乳動物の卵子や精子を顕微鏡下で操作するマイクロマニピュレーター(左)と、体細胞クローン動物や遺伝子改変動物を作出する胚操作(右)。小型の霊長類であるマーモセット(左)と、そのES細胞(右上)・iPS細胞(右下)。遺伝子改変技術が確立され、扱い易いため、近年、ヒトのモデルとして注目を浴びている霊長類である。動物栄養飼料学研究室応用生殖科学研究室研究から広がる未来昨今では世界的に見て、動物のストレスや苦痛を減らす飼育(アニマルウェルフェア)に対する意識・関心が高まっています。動物栄養飼料学研究室では、ニワトリを対象とし、細胞・個体レベルで生じるさまざまな「ストレス」を減らすための研究に取り組んでいます。将来的にはエサを介した、生産パフォーマンスを高める技術開発だけでなく、動物の健康維持や、アニマルウェルフェアの推進へと発展していきます。卒業後の未来像ニワトリの飼育・解剖のほかに、細胞培養、遺伝子組み換えなど、マクロからミクロの実験を通して多角的なアプローチ能力が身につきます。卒業後は、食品会社への就職のほか、研究職を志す学生が多数います。研究から広がる未来生殖学の応用技術である発生工学技術は、個体の遺伝子改変を可能にし、医学・生理学・農学をはじめとする生命科学分野で必須のツールとなっています。この技術を用いると難病の原因遺伝子を動物に持たせることができ、ヒトの難病モデルを作出できます。優秀なモデル動物の作出は難病克服への特急券となり、農学部から難病克服に貢献できる研究成果を発信します。卒業後の未来像研究者・製薬会社・食品会社・病院・生殖医療クリニック・胚培養士・細胞培養士・ノーベル賞学者など皆さんが毎日、口にする食事は、皆さんが意識しないうちに栄養として体に吸収され、血となり肉となり、健康的に生きることをサポートしてくれます。これは人だけでなく、家畜を含めた動物にとっても同じです。健康的な食事は動物のエネルギー源となり、免疫力を上げ、ストレスを軽減させることもあります。言わば食事は生命活動の万能薬です。私たち動物栄養飼料学研究室はそんな食事について、動物の健康と福祉を第一に考え、まさに万能薬のような飼料の提案を目指します。生命の始まりである受精卵は、動物を構成する全ての細胞へと分化できる万能細胞と呼ばれています。その受精卵を扱う生殖学も、万能細胞のようにあらゆる研究分野へと繋がる学問です。本研究室では、①動物生殖学、②発生工学、③神経科学の3本柱で研究を進めています。①動物生殖学研究では、代謝シグナルと性ホルモン合成の関連メカニズムを解明することで、生活習慣病に起因するヒトの不妊や、濃厚飼料の給餌と関連性が示されているウシの受胎率低下の克服を目指します。②発生工学研究では、本研究室の強みである個体レベルでの遺伝子改変技術を用いて、ノックアウト動物や遺伝子改変動物を作出し、未知の遺伝子の機能探索や、新たな研究ツールとなる動物を作出します。③神経科学研究では、小型の霊長類であるマーモセットを用いて、ヒトの難病モデルを作出し、疾患の克服を目指します。遺伝子・分子レベルから個体レベルまでのオールラウンドな研究、そして基礎研究では終わらない実践的研究を目指します。B動物資源生命科学コース動物資源生命科学コース動物の生体内機構に立脚した生命の始まりの探求遺伝子改変技術で難病克服に貢献よりよい飼料開発を目指す16

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