農学部研究紹介2023
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強化IgE好酸球などLactococcus lactisLactobacillus rhamnosusGGアレルギーの症状を引き起こすマスト細胞(肥満細胞)やアレルギーモデル動物を用いた試験により抗アレルギー作用が期待できる食品素材が多く発見された。皮膚角化細胞を起点とした炎症誘導作用を抑える食品由来成分の新規機能性を見出し機能性化粧品素材として応用した。乳酸菌は、発酵乳製品の製造に利用されてきました。しかし近年では、有用物質の生産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、人類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌ワクチンの開発基盤の構築を進めています。乳酸菌や発酵乳の健康効果は、人類の長い歴史に裏付けられています。しかし、乳酸菌の効果には個人差が大きいことや、その持続性において課題が指摘されています。私たちは、腸管に棲みつく乳酸菌をモデルに、プロバイオティック機能を強化する取り組みを進めています。機能性畜産物製造学研究室河原岳志准教授九州大学で博士号を取得後、2002年4月より信州大学農学部に赴任。動物の細胞培養や細胞工学技術を学び、本専攻所属後はこれを活かした食品の機能性評価研究を手掛ける。分子生命工学研究室下里剛士教授米国食品医薬局研究員、米国国立ガン研究所研究員、信州大学テニュアトラック助教・准教授を経て、2019年より現職。専門は、動物生命科学・畜産物利用学・乳酸菌科学。研究から広がる未来これまで得られた研究成果は、国際的な学術誌での発表という形で世界に向けて情報発信しています。また近年では研究成果を活かした製品開発にも協力しており、一般の方々にも商品という形で成果に触れていただく機会ができました。医療費の増大が問題となるなか、食品の機能性に対する期待が高まっていると感じています。今後もこのような活動を通じて地域と世界を結ぶ架け橋として貢献していけたらと考えています。卒業後の未来像食品の機能性探索や開発を目的として活動する研究室のため、卒業生のほとんどは食品に関わりのある業界の仕事に就いています。研究から広がる未来酪農科学・乳酸菌科学を軸に、乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスの他、未知の腸内細菌を研究対象としています。また、長野県の主導する「発酵長寿プロジェクト」に参画し、信州各地の老舗醸造蔵に宿る蔵付乳酸菌ライブラリーの構築を進めています。長寿エリア信州の魅力を次世代に繋ぐべく、乳酸菌科学の視点から発信していきます。卒業後の未来像研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、食品系(主に乳業関係)・製薬系メーカーに卒業生を多く輩出しています。超高齢社会を迎え、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、私たちが日々摂取する食品の果たす役割は、極めて大きなものとなっています。当研究室は、荻田佑助教、重盛駿助教、佐藤隆特任教授(医師)との共同運営体制により、乳酸菌や腸内細菌がもたらす生体調節作用について追求しています。とくに乳酸菌の菌体成分が有する健康機能の他、革新的な機能を備えた乳酸菌の創発研究に取り組んでいます。将来的には、新たな機能性食品や家畜飼料素材の創製を実現させたいと考えています。河原研究室では、生体の不都合な応答によって生じるアレルギーや様々な炎症性疾患の症状を緩和できるような機能性食品素材の探索を行っています。山地に囲まれた信州の地には、未だ機能性が明らかにされていない食品素材が多く眠っています。免疫細胞や腸管上皮細胞、皮膚角化細胞など、病態の鍵となる種々の細胞の生物学的応答を手掛かりに未知の機能性を見出し、一人でも多くの人の健康に役立てられるよう研究に取り組んでいます。近年では有用な機能性をもつ食品由来成分を、化粧品向けの素材として応用していく研究も手掛けています。QSEケモカイン産生抑制B細胞肥満細胞Th2細胞組換え乳酸菌の開発乳酸菌野生株ー乳酸菌ワクチンの開発ーー腸管に棲みつく乳酸菌を強化するー投与疾病モデルマウスワクチン効果の検証腸管付着性を強化した乳酸菌動物資源生命科学コース動物資源生命科学コース培養細胞の様々な応答を手掛かりに食品の新規機能性を探索・応用する機能強化乳酸菌の創製研究13

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