2022 繊維学部研究紹介
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7大越研究室では、主に溶融紡糸・延伸による高性能・高機能な合成繊維の製造方法に関する研究・開発を進めています。特にレーザー光を利用した繊維製造によって、生産の高速化、省資源・省エネルギー化に加え、これまでは作れなかった超極細繊維や直径や内部構造を精密に制御した繊維などが作れるようになり、また繊維の構造や性質ができていく過程を詳しく調べられる様にもなりました。研究によって得られた繊維は、医療、光学部財など多くの用途への展開が期待されます。新しい繊維と新しい繊維用途開発を目指して、日々研究に励んでいます。「ハッ」と目が覚めるような黒のスーツを身にまといゴージャスな大人の雰囲気を感じたい。お風呂上がりには「マシュマロ」みたいな肌触りのルームウェアに包まれていたい。金井研究室ではそんな消費者の素直な要求を満たす「幸せのためのもの創り」を実践しています。何本もの細い繊維を束ねて糸を創り、それを経緯に組み合わせて創られた布はテキスタイルと呼ばれ、フィルムや紙と比べてしなやかで強く、軽くて空気をたくさん含む魅力的な素材です。このテキスタイルを消費者の要求に合わせて効率よく創りあげる方法を研究しています。写真サイズ高さ2.65cm×幅3cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm金井博幸教授信州大学繊維学部を卒業後2003年より繊維学部助手、2007年より助教、2009年より講師、2011年より准教授、2022年より現職。研究分野は感覚計測工学、生体機能計測工学。教員紹介繊維は、もともと鋼鉄よりもはるかに強くて軽く、しかもしなやかに曲がり、表面積も大きい、高機能な材料です。最近ではより高性能・高機能な合成繊維が数多く開発され、航空機・自動車の機体や車体、人工臓器、光学機器、スポーツ用途等に使われ、軽量化や高性能化によって地球環境負荷の低減や人間生活の快適化に役立っています。特に日本の合成繊維企業は、多くの高性能繊維で世界をリードしています。大越豊教授信州大学繊維学部助手、講師、助教授を経て、2006年より現職。研究分野は繊維・フィルムなど高分子材料の成形加工、および得られた繊維などの光学物性や力学物性などの雑学。卒業後の進路は、就職先として合成繊維企業をはじめとする素材メーカーを選択する学生が最も多いですが、繊維を使う側のタイヤメーカーや電機メーカー、評価する側の地方公設試に勤めた卒業生もいます。教員紹介ユーザフレンドリを満足させるものづくりの方法論を実現するためには、人間の心理、生理反応を計測し数値化して、消費者のニーズを正確に把握することから始めます。まさに「ヒトを測ってそのヒトを知る」のです。この技術を応用すれば、宇宙飛行士や消防士など危険な作業をともなうヒトの状態を知ったり、心地よい香りをかぐことでどのくらいリラックス効果が得られたかを知ることもできるのです。ユーザーフレンドリを満足させる技術は、繊維製品に限らず身の回りのあらゆる製品(車、インテリア、文房具など)で求められています。「心躍る製品を創ってユーザーを感動させたい」という夢を持っている人が社会で活躍できる学問です。先進繊維工学コース先進繊維工学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像布の光反射を測定してヒトが感じる「深み」や「艶やかさ」などの印象を数値化できる装置。布の美しさを数字で評価できるスーツを着たヒトの筋肉の活動(筋電図)を測ることで、そのスーツがどれだけ動きやすいかを知ることができる写真サイズ高さ9.8cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm先進繊維・感性工学科先進繊維・感性工学科高性能・高機能な合成繊維を作る五感を科学して製品の付加価値を向上

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