2022 繊維学部研究紹介
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51農業生物資源研究所(現・農研機構)特別研究員、奈良女子大学研究院助教を経て、2021年より現職。研究分野は高分子バイオマテリアル。教員紹介有用タンパク質の一つである酵素は、環境に優しい温和な条件で触媒反応することから、グリーンケミストリーの観点におけるキーテクノロジーの1つです。新規酵素の探索や遺伝子工学的改良は、食品・医療・化学合成など多くの分野への貢献が期待されます。また、生体内タンパク質合成の中核を担うリボソームや関連因子を分子レベルで改変することによって、従来の合成系では生産困難であった有用タンパク質の生産を可能にする技術開発に挑戦しています。野村隆臣准教授ライオン株式会社研究開発本部、信州大学繊維学部教務員・助手・助教を経て、2017年より現職。主な研究分野は分子生物学・遺伝子工学的技術を用いた生体機能分子の解析。卒業生の多くは研究職に就いており、食品会社や製薬会社、素材・材料を取り扱う化学品メーカーなど様々な分野で活躍しています。他には、研究室での経験を生かして、DNA・遺伝子やタンパク質の分析を行なう仕事も考えられます。教員紹介ヒトが元来もっている体の機能を補助・正常化させたり、傷・疾患を治癒したり、回復を促進したりすることができるバイオマテリアルの創出は、私達のQOL向上につながり得ます。シルクの医療分野への展開を中心として、材料開発の観点から、ヒトに優しい社会・未来を構築することを目標に研究を進めています。橋本朋子准教授研究活動では、これまでに作られていないものを作り、未解明のことを明らかにするために、調査・設計して、実験して、得た結果を考察して、次につなげる、を何度も繰り返します。研究室活動を経て、卒業・修了後、無限の可能性をもった未来につなげてもらえるような人材育成を目指しています。研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像タンパク質の精製実験中。生体内に存在する膨大な数のタンパク質から目的タンパク質だけを取り出しているところです。有用タンパク質を遺伝子工学的に改良することによって、従来よりも優れた機能(反応性や安定性の向上)を与えることに挑戦中。シルクフィルム上で培養した細胞の接着の様子シルク上の細胞は特徴的な挙動を示します機能性ペプチドの一例様々なペプチドを設計・合成し、固定化することで、バイオマテリアルとしての更なる高機能化が図れます生体内には様々な機能分子が存在しており、これらの働きによって生物は生命活動を営んでいます。ゲノム解析によって多くの生体機能分子の詳細が明らかにされつつありますが、謎のベールに包まれたものも数多く残されており、有用な機能をもつものが眠っていると考えられます。野村研究室では、生体機能分子の代表と言える「タンパク質」について研究を行なっており、分子生物学的・遺伝子工学的技術を駆使して「酵素などの有用タンパク質の探索・改良」や「タンパク質生産技術の開発」に取り組んでいます。シルクは古くから高級アパレル材料として使用されてきており、近年ではヒトに“優しい”天然由来材料としても認識され重用されています。ではなぜシルクはヒトに“優しい”のでしょうか?研究室では、様々な観点からシルクの特性についての理解を深め、また秘めた特徴を引き出し制御することで、ヒトに優しい機能性バイオマテリアルとしての展開につなげます。また、“優しさ”の解明で得られた知見を、他の様々な材料にも適応させていきます。さらに、素材の良さを引き出しながら、様々な機能性分子を、ヒトにも環境にも優しい手法でバイオマテリアルに固定化して、高機能化を図ります。応用生物科学科応用生物科学科生体分子の理解から応用〜未利用タンパク質資源の活用と生産技術の開発〜ヒトへの“優しさ”を科学的に解明して、より良いバイオマテリアルを創る!

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