2022 繊維学部研究紹介
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42教員紹介研究の発端は何でも構いません。何かやってみたいこと、疑問に思うことがあったらまず、その解決策を「自分で考える」ことが大切です。このことが研究を推進する力になります。学生さんには研究室をトレーニングの場としてとらえていただき、ここで考える力を養うことによって将来必要とされる世の中のどんな要求にも的確に応えられるようになるでしょう。滝沢辰洋助教信州大学繊維学部機能高分子学科卒業。信州大学繊維学部教務員、助手を経て現職。興味のある分野は材料物性全般。どのような分野であっても解決すべき課題に向かってプロセス(ものごとの進め方)やシステム(課題の具体的解決法)を積極的に提案できる人になれるはずです。教員紹介これまでに、私たちが開発した高分子ベシクルを用いて、くすりを疾患部位で産生するナノデバイスの構築に成功しています。さらに、性能を高めることにより、高い治療効果かつ副作用を低減できる医療技術につながると考えています。西村智貴助教英国Bath大学博士研究員、京都大学大学院工学研究科特定助教を経て、2020年より現職。専門分野は、自己組織化高分子、高分子ベシクルとバイオマテリアル応用。研究活動を通して、実験手法、論理的な思考力やプレゼンテーション能力を身に着けてもらうだけでなく、他の人には無い自分独自の強みを築けるような教育を心がけています。社会で活躍できる人材になってもらいたいと思います。研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像上の写真にある研究用マイクロ波発振器を使って無機物質(ここでは炭素を主体とする材料)にマイクロ波を照射すると800℃以上のコンパクトな高温雰囲気場を作り出すことができる。ここにメタンを接触させることで水素への効率的な転化をすることが可能になる。両親媒性ブロックポリマーが形成する細胞サイズの高分子ベシクル人工分子チャネルとして機能する高分子を組み込んだリポソームの模式図マイクロ波を使った新規材料の創成と物性の解明を目指しています。「電波」と言えば地上波のラジオやテレビ、衛星放送、携帯電話、無線LANなど通信用途が主な用途として思い浮かぶと思います。しかし今や、どの家庭にも最低1台はある「電子レンジ」も同じような「電波」を使っていますが、こちらは通信用ではなくて「調理」のための道具です。調理は化学プロセスとしても位置付けることができますので、そこからさらに一歩進めて「化学および化学反応・化学プロセスのための利用法」を模索しています。両親媒性のブロックポリマーやグラフトポリマーは、自己組織化することにより、ミセル、シリンダー、チューブ、ディスク、ベシクルなど多彩な集合体を形成することが知られています。一方で、これらの集合体を自在に作り分けることや、大きさを制御することは容易ではありません。そこで、私たちは、様々なポリマーを合成・設計し、どのように自己組織化するのかをX線や中性子などの量子ビームや電子顕微鏡などを用いて明らかにして、分子組織体の構造やサイズを自在に制御する手法の開発に取り組んでいます。同時に、分子が組織化することで発現する機能についても調べています。さらに、その分子組織体を用いてDDSナノファクトリー、人工細胞材料、人工分子チャネルなどのナノバイオ材料・システムへの展開も行っています。化学・材料学科化学・材料学科マイクロ波を利用した化学分子組織体を創り、理解し、使う

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