2022 繊維学部研究紹介
37/62

36教員紹介表面微細構造に起因する機能は、撥水性や構造色など色々ありますが、最近特に興味を持っていることは、このような微細構造に液滴を溜めることです。規則的な表面微細構造を利用すれば液滴の体積や配置を正確に制御できますので、面白い用途は色々あるように思っています。渡辺真志教授今は高分子材料および化学工学に関する研究をしておりますが、自分の専門分野については、特に限定はしておりません。卒業研究の内容が卒業後の仕事に直接役立つとは考えていません。世の中には面白いことが沢山あるので、卒業研究の内容にこだわらず、自分が面白いと思ったことに自由に挑戦して欲しいと思っています。教員紹介生体を構成しているタンパク質などの生体分子は多種多様であり、様々な生理機能を発現しています。また、タンパク質だけでも数万種類あり、未解明の機能もたくさんあります。従って、どの生体分子を選び、どのように活用するのかは、無数の組み合わせが考えられます。このように生体物質を工学に応用することで、新しい概念のもとで、新素材などの開発が可能になると確信しています。小駒喜郎准教授信州大学大学院繊維学研究科修了後、東北大学にて博士(理学)の学位を取得。1999年から現職。この間、2001-2002年ドイツケルン大学に留学。専門は生体高分子工学。化学素材、医療機器メーカーなどが就職先として比較的多いですが、学生が興味を持ったどの分野の企業にも対応できるような教育を心がけています。研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像できるだけ簡単な方法で、精密に制御された表面微細構造を作るにはどうしたらよいか、ということを考えています。図1はその例の一つで、シリコーンゴムを丸めて、濃硫酸と濃硝酸の混合物に浸すだけで規則的なシワを作ることができました。また、ゴム板上に形成させた金属薄膜にシワをつけて、交互に噛み合ったくし形のシワを発生させることもできました(図2)。最近は、このような表面微細構造を使って微細な物を整然と並べたいとも思っており、微小な針状結晶を方向、間隔、長さ、太さをある程度揃えて並べることができています。疾病の時に処方される薬は肝臓で分解されます。その肝臓において中心的な役割を果たしているのが、CYPと呼ばれる酵素です。薬の効き方は、人によって様々であり、副作用の強く出る人もいます。我々の研究室では、このCYPを電極に固定し、適切な薬の投与量を簡便に見極めることを目指したバイオセンサーの開発を行っています。また、珪藻という植物プランクトンはシラフィンというタンパク質を使ってシリカの殻を形成しています。このシラフィンの構造を模倣した高分子を用いることで、新素材としての様々な形状のシリカの作成に成功しています。200 µm(図1)酸処理で形成されたシワ(図2)金属薄膜のくし形のシワ薬物の種類によって異なる電流電圧応答を見せたCYP固定化電極(バイオセンサーへの活用例)ポリマーの添加による様々な形態のシリカの生成(新素材への活用例)200 µm基質なしリドカインテストステロンニフェジピン化学・材料学科化学・材料学科規則的な表面微細構造の簡単な作製方法生体物質を工学に応用するバイオセンサーや新素材を目指して

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る