2022 繊維学部研究紹介
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20教員紹介強力なロボットでも、使用者の動作を邪魔しては危険です。逆に、小型軽量なロボットでも、人間の動作に沿えば小さい力で人間の動作を誘導できます。人間の動作の特徴をモデル化することで、安全で効果的な生活支援ロボットが開発できます。秋山靖博准教授東京大学大学院工学系研究科を修了し博士(工学)取得。名古屋大学工学研究科助手を経て2022年より信州大学繊維学部へ。主な研究分野は人間協調ロボットの安全、バイオメカニクス。当研究室は2022年開設のため卒業生はいませんが、安全はものづくりに欠かせない要素です。また、製品の使用感を評価するためにはバイオメカニクスや統計解析は不可欠です。このような技術を学び、幅広い産業現場で活躍してくれるものと期待しています。教員紹介●人の生活環境や自然環境で使うためのロボットの実現:例えば、電線をモニタリングするためのイモムシ型ロボットや、土の中をモニタリングするためのミミズロボットなどの実現。●ラピットプロトタイピングによる低価格かつ汎用的なソフト・ロボットの設計論の構築。●組み立てコストや配線の手間などの激減により、今までは考えられないほどの複雑で有機的なデザインを持ったロボットを提案するような新しい学術・産業領域の創生。●生物システムをさらに理解するためのプラットフォームとしてロボットを活用するRobotic-inspiredBiologyの普及:ロボットではパラメータ変更が自由であるため、あり得たかも知れない生物(lifeasitcouldbe)の設計。梅舘拓也准教授東北大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。米国Tufts大学にて日本学術振興会特別研究員(PD)、海外特別研究員を務め、東京大学大学院情報理工学系研究科特任講師を経て現職。当研究室は、2019年11月に立ち上がったばかりで、まだ卒業生はいませんが、当研究室での研究活動を通じて、アルゴリズミックな機械設計(プログラムを使った形の自動生成)、3Dプリンタなどのデジタリファブリケーション技術を使っての製造、制御工学、ロボットの設計を通じてのシステム思考など、自動車産業や情報系の企業など幅広い分野で求められるスキルセットを身につけることができます。機能機械学コース機能機械学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像様々な歩行アシストデバイスの開発歩行転倒実験と、それを用いた転倒シミュレーション。3Dプリントで造形したイモムシロボット。曲げ変形だけでなく圧縮変形も使うことで、より速い這行(しゃこう) 運動と多様な振る舞いを実現。導電性インクで印刷したセンサ兼アクチュエータ磁界共振型無線給電で駆動するイモムシロボ日常環境で使われるロボットは人間の動きに沿うものでなければなりません。人間との動作の不整合は、安全性と利便性を損ないます。使用法が簡単で利用者に負担がないことも重要です。それらを解決すべく、様々なロボットやデバイスを開発し、使用中の動作を解析することで安全性や効果を評価しています。また、本当にリスクのある状況では人間では実験できません。そうした状況の危害リスクを評価するためのシミュレーション技術も開発しています。当研究室の軸足は「機械的な柔らかさが生み出す知能的な振る舞い」にあります。生き物は高次なものから原初的な種まで、筋肉、腱、皮膚組織など3次元的に柔らかい素材で作り上げられています。この柔らかい体を制御するには、必ずしも膨大なニューロンが必要というわけではないようです。例えばイモムシやアメーバなどの原初的な生物は、非常に少ない神経組織や生化学反応などの分散された情報処理系で、ほぼ無限大ともいえる自由度を制御します。当研究室は「機械的な柔らかさ」が機械と生物の本質的な違いであると捉え、これら原初的な生物からヒントを得ながら、機械的な柔らかさによりはじめて実現できる知能を備えた実世界で活躍できるロボット作りを研究しています。繊維やゴム状素材を多用したロボットの設計はソフトロボティクスと呼ばれ、近年特に成長目覚ましい分野です。機械・ロボット学科機械・ロボット学科人間の動きの「癖」を理解することで安全で便利なロボットやデバイスを創る繊維やゴム状の柔軟素材を駆使し、生物のようにしぶとく動くロボットを創る

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