2022 繊維学部研究紹介
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15現在では、目に見えてわかりやすい人類の役に立ちそうな(≒経済を動かす)研究が重宝されています。たとえば、短期間で何キロも痩せるダイエット法の開発などは、科学的エビデンスの有無に関わらず必ず注目を浴びます。一方で、我が研究室では、何の役に立つかわからないかもしれないが「こんなに面白いヒト生体の機能、どうなっているの??」という知的好奇心と科学的エビデンスに基づいて、国際級の研究を進める方針です。特に、ヒトの身体運動の神経制御機能の解明に取り組んでいます。消費者が望む機能やデザインを持ち、さらに実際の購入につながる衣服は着心地がよく、美しさ、格好よさ、エレガントさ、高級感、かわいさなどの感性価値を持つ衣服だと思います。また、それは、美しくて、物性、機能に優れた衣服材料で作られています。研究室ではこのような美しくて快適な衣服を設計するための方法とは何か、また、そのような衣服のための衣服材料とは何かを、繊維工学、衣服学、感性工学的観点から明らかにする研究を行っております。吉武康栄教授大阪市立大学工学部(学部)、京都大学大学院人間・環境学研究科(大学院)出身。学術振興会特別研究員PDなどを経て2018年9月より現職。日常生活活動からスポーツ動作中の不思議な現象や制御機能に興味を持つ。教員紹介スポーツアスリートが海外でも活躍を渇望するように、研究者も世界を相手に戦うことができます。論文が日本語や(たとえば)フランス語で書かれていても、日本人かフランス人しか読みません。英語で研究をすれば、世界中の研究者とコミュニケーションを取ることになります。ヒト生体の研究を通じて、世界を感じることができると思います。世界基準での研究の仕方を学んだ後は、あなた次第。教員紹介芯地を接着した布の物性を接着前の布と芯地の物性から予測する研究、ハイエンド衣服設計技術の分析,外観と着心地に影響する衣服材料・パターン要素とその条件、縫製・アイロン処理による衣服の立体化のメカニズムの研究など、経験に頼ってきた衣服製作方法の原理を明らかにし、工学的体系化を目指した研究を行っています。最終的には美しくて快適な衣服の効率的な設計方法を提案し、消費者が好み・購入する服の生産を目指す産業界の役に立ちたいと思います。金炅屋准教授日本学術振興会特別研究員(DC2・PD)を経て2019年より現職。専門分野は衣服工学・繊維工学・感性工学。主な研究分野は衣服材料・衣服設計・評価に関する研究。衣服材料、衣服設計・デザインに関する専門知識だけではなく、俯瞰的な視野、コミュニケーション能力を持ちグローバル化への対応が可能な人材を目指して指導しています。感性工学コース感性工学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究課題(1) 効率的に(素早く・大きく・筋疲労が少なく)力を発揮する生理学的メカニズム(2) 精確に力を調節する生理学的メカニズム(3) 効果的な運動学習機能上記について、ヒトの筋レベルおよび筋線維(運動単位)レベルでの筋電図測定を中心に、最近では脳機能測定(経頭蓋磁気刺激法,脳波)や画像診断法(超音波Bモード、エラストグラフィ)も加えて、統合的に解明を試みる。研究から広がる未来卒業後の未来像吉武研究室が取り組む各種研究テーマの測定風景左上:走パフォーマンスの規定因子右上:運動中の大脳興奮様相左下:力制御機能下中:スポーツ動作中に発現する不随意的動作右下:筋・腱の振る舞い3Dシミュレーション衣服プロポーションを考慮した衣服設計ひずみ計測による着心地評価先進繊維・感性工学科先進繊維・感性工学科筋(線維)パフォーマンスに関する研究をしていますテキスタイル・衣服パターン・製作技術の関係から探る美しくて快適な衣服。

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