2022 繊維学部研究紹介
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14これからの未来は過去の延長からは想像もできないことが次々に起ころうとしています。そんな未来を技術からではなく、多様な未来社会を想定しながら学生と一緒に人を中心としたアイデア創出と提案をしています。ちょっと変なことを考える個人の独創力が、新たなイノベーションにつながっていきます。毎日授業中に座る椅子、毎日履いているシューズ。普段何となく、この椅子は座りやすい、このシューズは履きやすい、など色々なことを感じていると思います。では、どの程度心地良いのでしょうか?私たちは目に見えない心地を可視化し、心地を科学しています。脳波・心電図・筋電図といった生理的活動の計測や、行動・気持ちの変化の測定だけでなく、さらにはコンピュータシミュレーションも取り入れながら心地や感性を理解することによって、人間が良いと感じるモノを創っていこうとしています。長尾幸郎教授三菱電機デザイン研究所にて、プロダクトデザインからビジネスデザインまで多様なデザインに従事。東京工業大学大学院で技術経営専門職学位取得、同研究員を経て22年1月信州大学に着任。吉田宏昭教授デジタルヒューマン研究センター研究員、信州大学繊維学部助教等を経て、2019年より現職。研究分野は、感性工学、バイオメカニクスなど。コンピュータシミュレーションを用いた心地評価などを行っている。教員紹介エビデンスベースで様々な事象を探索しながら新たな機会領域に着目し、クリエイティブな創造性を活かして未来のビジョンをビジュアル化して示します。また、デザイン領域を俯瞰的に捉える手段として、ネットワーク分析も行っています。デザイン領域はプロダクトデザインだけではなく、UXデザイン、ビジネスデザイン等へ大きく拡大しています。モノづくりのメーカーだけではなく多くの業種でデザインの価値を経営に活かそうとしています。先輩が築いてきた企業だけではなく、新たな活路を切り開く人材の育成を目指しています。教員紹介コンピュータシミュレーションは身体内部の状態を解析でき、人間の感覚を推定できる方法です。このシミュレーションの一番の利点は身体内部の状態を可視化できることです。例えば、身長や足長などの身体情報を入力すれば、座席シートやシューズがその人に合っているかどうか、その場で表示できます。将来的には、コンピュータ上で、座り心地・履き心地・寝心地・触り心地などを評価したいと思っています。感性工学コースの学生は、ものづくりに対する意欲が強いので、自動車や鉄道関連などの製造業に進む卒業生が多いです。さらに、「感性工学」という他にはない観点で、ものごとを見つめることができるのが大きな強みだと感じています。感性工学コース感性工学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像新たな機会領域をビジュアル化しながら具現化し、共感を得る作業を行いますデザイン思考(DesignThinking)に関する学術論文のネットワーク分析による俯瞰図とクラスター化座席に着座したときの気持ちの変化をアンケートを用いて調べ、その変化が身体内部でどのように現れているのか解析しています歩行動作をビデオなどで撮影し、その動きをコンピュータシミュレーションで再現して、身体内部の現象を解明しています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm先進繊維・感性工学科先進繊維・感性工学科未来社会からのイノベーション創出感性とシミュレーションの融合それは、新たなモノづくりの形

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