2022 繊維学部研究紹介
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9森川研究室では、管理工学,システム工学,多変量解析,繊維加工技術などを基軸として、蚕・繭・生糸・絹織物・ファッション・マーケットリサーチなど、シルクサイエンスにかかわる幅広い分野を対象とした研究を進めています。カイコの吐糸営繭行動(絹繊維を吐いて繭を作る行動)を数学的に取り扱う方法(モデル化)、絹形成過程の解析、シルク材料への機能性付与、シルクナノファイバーの創製、シルクアパレルを中心としたファッション産業の経営工学的解析などの研究を進めています。高級(ラグジュアリー)ブランドなどのファッションアパレルの画像解析、システム工学的解析やテキスタイルデザインに関する研究も行っています。繊維工学とテキスタイルサイエンスの面から「せんい」に取り組んでいます。繊維工学の面からは、繊維機械やシステムについて検討しています。テキスタイルサイエンスとしては、せんいに潜んでいる法則を見つけていきたいと思っています。人類は古代は石器・土器を、やがて金属や合成樹脂、ついには原子力燃料を製造するところまで来ています。しかし、その間ずっと使われてきたものとして「せんい」があります。なぜ衣服は「せんい」でなければならないのか?これは、大変不思議で、面白く、また挑戦し甲斐がある謎であると思います。坂口明男准教授長野県上田市生まれ。信州大学繊維学部卒。信州大学維工学専攻中退。信大学院繊州大学繊維学部教務員、同助手を経て現職。現在の専門は繊維工学。先進繊維工学コース先進繊維工学コース教員紹介森川英明教授信州大学大学院を修了後、花王、新潟県立短期大学、信州大学繊維学部助教授、准教授を経て現在に至る。専門分野は、繊維工学、管理工学、統計学。教員紹介昔は大小さまざまな印刷屋さんがあって、それはなくてはならないものでしたが、パーソナルコンピュータとプリンタは印刷の世界を全く変えてしまいました。印刷業は大きく変わりましたが、誰もが自宅で様々な印刷物を作り出せるほど、印刷の文化は大きく発展しています。業界の成長と文化の向上は等しくないのです。このことは「せんい」の世界にも起こる、あるいは起きなければならないのかもしれません。同じ力のエンジンを積んでいてもレーシングカーとブルドーザーでは得意な仕事は全く違います。どちらが優れているかとか考えるのは無意味です。みんなが互いに得意なところで力を合わせるのが必要と考えます。研究から広がる未来カイコの作り出すシルクはハイファッション分野の重要な繊維材料ですが、一方で生物の機能・行動に学ぶバイオミメティクスの分野や、シルクタンパクのメディカル材料等への応用が期待されており、先端的な技術と融合して新たなシルクサイエンスの構築が進んでいます。テキスタイルは一本の繊維が階層的に構造化されることで様々な機能と審美性が生まれる魅力的でユニークな材料科学です。卒業後の未来像卒業後は、ファッション・アパレル、繊維業界で製品開発などを手掛けるエンジニアとして活躍する人材となれるでしょう。研究から広がる未来卒業後の未来像カイコ・繭・シルクのサイエンスファッションアパレルの画像解析真綿から手作りされる紬糸にも法則があるウェブ中の繊維の形を測る先進繊維・感性工学科先進繊維・感性工学科「せんい」-日本における、カイコ・繭・シルクのサイエンス!ファッション工学&テキスタイルデザインこのキーワードの未来を考える

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