(※)コンクリートやアスファルト混合物を作る際に用いられる材料である砂利や砂などのこと「イタチやネコなど天敵による対策は効果が高いと聞きますが、食品を取り扱う倉庫での実施はもちろん不可能ですし、当社のデジタル推進課が開発した骨材(※)製造のAIによる動体検知を応用することで、ネズミを捉えることはできそうだがそれだけではソリューションとして不十分。検知したネズミをどう追い払うのかについては、新しい方法を思いつくことができずにおりました」と語るのは、相談を持ち込んだ(株)ヤマサ代表取締役の北爪寛孝氏。産学連携コーディネーターを通じて届いたそんな課題に対し、協力を申し出たのが工学部の中村正行教授でした。中村教授の専門は「設計工学」。物づくりにおける設計の「最適化」研究を通してノウハウを蓄積した線状立体構造物の3次元再構成の技術で、倉庫の建屋や内部装置、日ごとに変化するコメが入ったフレコンなどを3次元で空間データ化し、役立てるこ待機中のドローンはAIから指令が出るとステーションから自動でテイクオフし最短ルートでネズミを追撃します。開発中のシステムでは最大5台まで連携させることができます。とができると考えたのだそうです。さらに工学部の広報室長を兼務し、高大接続を推進する立場から、このプロジェクトへの参加を松本工業高校の三澤実先生に打診すると、100名以上という部員数と40年以上という歴史を誇る同校の部活動「電子工学部」の4名が「やってみたい!」と快諾。それは、異なるフィールドでデジタルを知悉する3者の、産学連携・高大接続プロジェクトが始動した瞬間でした。現在、カメラを設置してネズミの検知のテストとデータ集積が行われているのはヤマサの食糧倉庫。フレコンや米袋の数や高さが日々変化するため、3Dマップづくりは困難かつ重要な作業です。04AIによる映像解析技術(株)ヤマサデジタル推進課3Dマップ化による最適軌道の算出信州大学工学部設計工学研究室プログラミングによる松本工業高校電子工学部います。 ドローン制御技術3者によるプロジェクト取引先のコメ農家の多くが、倉庫内におけるネズミの食害に長年にわたって悩んでいる。罠や音、匂いなど旧来的な退治方法ではなくデジタルの力で何か新しいことができないか?̶̶そんな相談が信州大学に持ち込まれたのは2021年の暮れのことでした。当初はラジコンカーだった中村教授の技術を用いて、ネズミの追い払いにドローンを使うというプランは早くから浮上していたのですが、当時、実は3次元再構成はすぐに実用化できるまでには研究が進んでいませんでした。「既にソフトウェアがあるにはあるのですが、まだ、例えば配管のような細長く入り組んだ形状のものを認識しづらいんです」(中村教授)。つまり、配管や設置された機械類がむき出しの倉庫はどちらかといえば苦手なフィールド。ドローンの自立航行自体にまだ多くの課題が残ることもあり、当初中村教授は、工業高校の生徒ならばラジコンカーの操縦技術は高いだろうというAI・IOT3DMAPDRONEプロジェクトにおける各ミッションと技術領域DRONE STATIONAlert!計工学×ドローンAI
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