×震央(震源の深さ5kmマグニチュード6.7)御代田町立科町下諏訪町諏訪市岡谷市生坂村池田町木曽町王滝村上松町大桑村南木曽町阿智村平谷村売木村根羽村飯山市小谷村信濃町飯綱町中野市小布施町小川村長野市須坂市大町市千曲市麻績村坂城町松川村筑北村青木村東御市上田市安曇野市松本市長和町山形村朝日村塩尻市茅野市木祖村辰野町原村富士見町箕輪町南箕輪村伊那市宮田村駒ヶ根市飯島町松川町中川村高森町豊丘村大鹿村喬木村飯田市下條村泰阜村阿南町天龍村野沢温泉村栄村木島平村山ノ内町高山村軽井沢町佐久市佐久穂町小海町北相木村南牧村南相木村川上村学校と連携し、震災アーカイブを活用した防災教育の促進に力を注いでいます。具体的には、教育学部の学部生・大学院生と地域の小中学校教諭が共同で震災アーカイブを活用した防災教育プログラムを作成。小学校では、アーカイブを通じて当時の被災状況を学習した後、現地でフィールドワークを行います。中学校では、アーカイブを活用し、被災当時と現状の比較などを行ってきました。こうした取り組みは様々な面でメリットが大きいものとなっています。小中学生は一段レベルの高い防災教育の機会を得ることができ、学校教諭は授業の充実発災直後復旧・復興後を図ることができ、地域にとっては次代へ災害の知識を伝えることにつながります。また、信大生にとっても貴重な実地教育の機会を得ることもできます。三方良しどころか“四方良し”の取り組みであると言えるでしょう。これは、「アーカイブサポーターズ」という専門の地域のガイドが、神城断層地震の特徴的な被災場所を案内するというものです。ガイドツアーで案内する場所には看板を設置。QRコードをスマートフォンで読み込むことで、震災アーカイブの写真や動画を閲覧できるようにしています。アーカイブサポーターズの養成は、2022年5月から開始した白馬村公民館による生涯学習講座を通じて行っています。教育学部の廣内教授や本間助教(URA)、内山特任助教、横山研究員などがアドバイザーとして関わっており、「防災に関して専門的な観点からアドバイスを受けることができ感謝している」と、白馬村公民館の横川秀明館長は話します。サポーターズメンバーは、農家やペンション経営者など様々なバックグラウンドを持つ人が集まっており、主にシニア層の生涯教育の機会となっています。白馬村公民館の横川館長は「受講生は驚くほど活き活きと取組んでいる」と話し、受講生の簑島正尋さんも「防災の観点から地域を知ることができて楽しい」と充実した様子です。ガイドツアーは地域内だけでなく、地域外からの反響も大きく、長野市や新潟県糸魚川市からの申込みもあります。それだけに、ガイドツアーを通じて地域に人を呼び込み、交流人口を増やすことで、地域活性化の一助になることも期待できそうです。廣内教授は、将来的に信州大学と自治体によるサポートなしで、地域住民が自立してアーカイブを運営できる体制を構築していきたい考えですが、「ガイドツアーがキーになる」と話します。仕組みづくりは人づくり教育学部の強みを発揮「神城断層地震震災アーカイブ」は、今や震災デジタルアーカイブの先進事例として全国で注目を浴びる存在となっています。それは、記録だけでなく活用も含めた仕組みづくりにあると言えそうですが、その仕組みづくりが可能になっているのは「人の育成を専門とする教育学部が取り組んでいることの利点が大きい」と廣内教授は話します。例えば、小中学校での震災アーカイブを活用した防災教育では、教育学部の廣内研究室の学部生・大学院生が授業をサポートしています。また、震災アーカイブツアーでは、教育学部のメンバーが関わりながらアーカイブサポーターズの育成に取り組んでいます。「どんなことでも仕組みづくりには、その担い手となる人の育成が必要になります。“仕組みづくりは人づくり”と言えます。それだけに、人づくりに関心を持ち、専門的に取り組んでいる教育学部の学生やスタッフが関わっていることが、震災アーカイブ活用の仕組みづくりに貢献している部分は大きいのではないでしょうか」と廣内教授は話します。記録にとどまらず、その活用も見据えた「神城断層地震震災アーカイブ」のプロジェクトは、まさに教育学部ならではの強みを発揮した取り組みと言えそうです。なお、信州大学教育学部では、来年4月に産官学で「防災教育研究センター」を立ち上げる予定です。学校、地域、企業を対象に防災教育研究を展開し地域の防災力向上を目指す方針であり、この新たな仕組みづくり・人づくりにも注目が集まりそうです。養成講座の様子災害を伝える看板と復興ツーリズムマップアーカイブを支えるスタッフ 左から横山俊一研究員、内山琴絵特任助教、本間喜子助教(URA)10白馬村現地ツアーを開始住民の生涯教育の場に震災アーカイブを活用するための3つ目の仕掛けは、復興ツーリズムの取組みです。2020〜21年は地元企業と連携したフィールドワークを実施しました。また2022年9月には白馬村公民館講座と連携したガイドツアーを行いました。
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