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います。佐藤:これは私の体験ですが、先日、北海道大学の資料の中から、戦前に樺太で採取されたヤマヒメワラビの標本を見つけました。長い間、信州にしかないといわれていたシダの仲間で、10年ほど前に北海道でも見つかっていたのですが、この標本によって樺太と北海道と信州が1本の線でつながりました。このように、資料は50年、100年と時間を経て活きてくるものなんです。資料があることで初めて大地のつながりが分かることもあるのですから、とにかく保存し続けることが大切です。山田:そうですね。残していくというのが、一つの使命だと思っています。佐藤:日本の植物は約1万種と予想でき、信州をくまなく歩くとその半分(約5,000種)を見つけることができます。いわば信州そのものが日本列島の縮図であり、ストックヤード的な場所ということです。そうした意味でも、信州大学の自然科学館が、色々な資料を後世に残していく意義は大きいと思います。山田:問題は、保管場所ですね。今、どこの科学館でも保管場所の確保が難しくなっていて、泣く泣く収蔵品を廃棄するところも出始めています。日本だけではなく世界共通の悩みで、当館も考えておかなければならない課題です。佐藤:信州大学自然科学館に最も期待するのは、お宝を発掘する人が育ってくれること。ここには先人から引き継いだ資料と、私が集めた未整理の資料を足すと約50万点もの収蔵品があります。いつか物好きな誰かが資料の山を紐解き、大発見をしてくれるのではないか。そんなことを思い描いています。山田:学生が研究に使った資料や、個人収集家のコレクションなどの寄贈もあり、収蔵品はさらに増えています。資料をためておくだけでは人には伝わらないので、やはり情報発信も必要ですね。例えばブログやVRを見て連絡してくれる方もいるので、インターネットを使った情報発信というのは大事だなと感じています。まだまだ未整理の植物サンプルなど数十万点が眠っている。Natural science special featureShinshu University(ありがとうございました)信州大学自然科学特集映画『七人の秘書 THE MOVIE』作品概要公開:2022年10月7日(金)全国・東宝系   で公開。出演:木村文乃 広瀬アリス 菜々緒   シム・ウンギョン 大島優子   室井滋 江口洋介 ほか監督:田村直己脚本:中園ミホ音楽:沢田 完制作プロダクション:ザ・ワークス配給:東宝撮影スケジュール:2022年1月〜3月   (撮影済み)https://7-hisho-movie.jp/この中の主要シーンとなる、信州の地元名士の館、執務室などに、信州大学自然科学館所蔵の野生動物のはく製が飾られることになり、どういった経緯か、映画の装飾を担当する(株)東京美工の春藤さんに少しお話を聞くことができました。ロケハンでもスタッフ皆さんがどうやって「信州感」を出せるか…考える雰囲気だった中、監督の「雷鳥のはく製などあるとより信州らしいよね…」というつぶやきがあったといいます。天然記念物である雷鳥のはく製なんてさすがにないよな…と思いつつWEBで検索したら信州大学に■り着いた、とのこと。雷鳥、イタチ、オコジョ、鷲、ミミズクなど、10体ほどが登場します。希少動物のほうがよりシーン設定のコンセプトに合うらしく(詳しくは映画で)、意外なところで信州大学自然科学館の「お宝」がご覧いただけます。ご期待ください。写真提供:東京美工「名もなき七人の秘書たちが史上最凶の巨悪をぶっ潰す!」というなんとも痛快なキャッチフレーズで、映画「七人の秘書」が2022年10月に公開されます。06映画「七人の秘書」に自然科学館所蔵の“お宝”登場!COLUMN手付かずの未整理資料からの大発見に期待しています。(山田)

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