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Natural science special featureShinshu University飼育ウマの呼吸数測定実験の様子。矢印が、ミリレーダー波を送受信する測定器信州大学自然科学特集15信州大学学術研究院(理学系)の松本卓也助教、株式会社マリの奥村成皓研究開発本部長、京都大学野生動物研究センターの平田聡教授は、ミリ波レーダを用いて立っている状態の飼育ウマの呼吸数を、接触せずに測定することに成功しました。ミリ波レーダ技術を用いたバイタル情報(呼吸数・心拍数)の非接触測定は、ヒトでは実用化が進んでいますが、ふらつきの影響が大きい、四足で立っている状態の動物を対象にした研究はありませんでした。今回、飼育ウマの呼吸数を、ミリ波レーダを用いて非接触で測定したところ、同時測定した赤外線サーモグラフィによる測定値とおおよそ一致し、非接触でもミリ波レーダ技術を用いれば十分に呼吸数を測定できることがわかりました。畜産業では、飼養動物の日々の健康管理が欠かせませんが、一方で人獣共通感染症対策として接触頻度を減らすことも必要です。本研究で明らかになったミリ波レーダを用いた非接触の呼吸数測定技術が、今後畜産業等の飼育動物を保有する業界にて実用化されることが期待されます。食生活の欧米化から、肥満者の割合が増えています。肥満は糖尿病や脂肪肝、脂質異常症といった病気につながるため、肥満の予防は喫緊の課題です。信州では昔から炭焼きが盛んで、その技術を用いて作られる活性炭は脱臭や水質浄化に用いられています。また、食用活性炭は尿毒素を腸で吸い取り、便として排泄させることが知られています。信州大学学術研究院(医学系)田中直樹教授と、株式会社伊那炭化研究所(長野県上伊那郡箕輪町)、炭プラスラボ株式会社(神奈川県横浜市)の研究チームは、活性炭が食事中の余分な脂肪も吸い取ってくれるのではないかと考え、研究に取り組んできました。その結果、信州伊那谷の特産物である赤松から生成した活性炭を、さらに加工した酸性活性炭が、高脂肪食によるマウスの体重増加、インスリン抵抗性を防ぐことを発見しました。食生活に酸性活性炭をうまく取り入れることによって、肥満や脂肪肝、糖尿病の予防につながる可能性があります。今後は人への実用化に向けて、産学連携研究を進めていく予定です。信州伊那赤松産の酸性活性炭による肥満予防効果を解明松本卓也助教を代表とする研究グループが飼育ウマの呼吸数を非接触で測定することに成功田中直樹教授を代表とする研究グループが

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