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06ジェクトの目標です。「治療行為によってライフスタイルを崩さずライフデザインを描ける」「住む場所によって医療の制限を受けない」「医療従事者に負担がかからない」という新しい地域社会がつくられることを期待しています。を生かして医療機器産業への参入を促し、産学官による共創の場を形成することにより長野県の医療機器産業の成長と雇用創出の仕組みを構築します。生活の中での治療が可能になれば、治療機器を装着しながら外出や農作業、運動ができ、遠隔モニタリングを受けながら安心して社会参加できる、また就業も可能になります。中山間地でニーズ調査近く実証も モデル地区の大町市が所在する大北地域は長野県北部に位置し、高齢化率は約37%、地域医療人材の確保が課題になっている過疎地域です。2021年度から市民や医療関係者、行政担当者らが将来の健康や地域の社会像について対話を重ね、医療介護スタッフへの聞き取り調査も実施してきました。「地域の医療が今どうなっているのか、将来はどう在ってほしいのかを一緒に考え、研究開発のヒントを集めています。その上で研究機関と企業をマッチングさせ、デバイス開発につなげる。大町市をモデル地域として社会実装し、全国展開していき写真:大北地域ます」(青木准教授)大町市では2022年6月9日に、初のワークショップも行われました。参加者は、居住地域の医療環境に満足しているか、不満や不安なことは何か、自分が高齢になったときに地域の医療や介護はどう在ってほしいか−などのテーマに沿って意見を交わしました。居住地域の医療環境については「かかりつけ医が身近にある」「医療機関の選択肢が多い」と高評価の地域があった一方、「専門医療が制限される」「病院が遠くて不安」などの意見もでていました。プロジェクトではオンラインによる専門外来の実現も視野に入れています。青木准教授は、居住する地域の診療所で専門的な診療や治療を受けられれば、患者や家族も遠方の病院を受診する負担が減る、として在宅治療システムと合わせて「“在郷”治療」のシステムを構築する有効性を強調します。「たとえば大北地域北部の小谷村には診療所が一つしかありません。住民が専門的な検査や手術を受けるために遠くの大きな病院まで通うのは大変なことですが、近くの診療所までなら行くことができる。そこで大きな病院並みの治療を受けられれば楽ですよね」。患者にとっても地域の医師にとっても、専門家の意見を聞くことができるなど利点が多いといいます。患者も家族も医師も看護師も、自分らしく生活するプロジェクトは、2022年度までモデル地域でのニーズ調査や関係者間の対話による課題深掘りを進めて研究開発課題の具体化を進めます。その後、2033年までの10年間で「家単位」、「地域」単位のスマート在宅治療システムの実証を実施。最終的なビジョンである「患者と家族と医療従事者のライフデザインを実現する地域社会」の創出を目指します。ニーズ把握のためのワークショップを開催。大町市在住の学生、会社員、医療関係者など若い方からお年寄りまでが、医療への要望や健康について話し合った。大町市のワークショップ場所の制限を受けない  診療・治療・見守り具体的には、循環器疾患や糖尿病、脳神経疾患など疾患別の在宅治療デバイスやモニタリングシステムの研究開発を進めます。加えて、精密加工技術など長野県内企業が持つ強みクト

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