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プロジェクトの目標2033年スマート“在郷”システムの実証 地域コミュニティ2028年スマート在宅治療システムの実証(家単位)2022年デバイス単位の研究開発2021年スタート人工心臓・スマートテキスタイル・人工内耳補聴器ビジョン深掘り 各種ニーズ調査05突然の怪我や病気、超高齢化社会に対応して、居住地による医療格差を無くし、患者や家族、医療従事者がライフデザインを描ける社会の創出を目指す「スマート在宅治療」プロジェクト。2021年度に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(地域共創分野・育成型)」に採択され、信州大学を中心とした産学官連携の取り組みがスタートしました。疾患別の治療デバイス開発やオンライン診療を組み込んだ在宅治療システム構築に向けて、2022年度末までニーズ調査や課題抽出を進め、2023年度以降は最大10年間の支援を得られる「本格型」への移行審査を受けて地域実証を目指しています。プロジェクトが描く地域医療の未来像について、副プロジェクトリーダーの青木薫准教授に聞きました。少子高齢化が加速する中で、医療・介護の需要増と担い手の確保が社会的な課題となっています。これに加え、中山間地が多い長野県では病院が偏在し、住む場所によって医療へのアクセスが制限されることも大きな課題の一つ。在宅医療の充実と持続的な医療提供体制の確保により、誰もが安定的に医療を受けられる社会づくりが求められています。2021年JSTに採択された信州大学の産学官連携プロジェクト「スマート在宅治療システム拠点」は、この地方ならではの社会的課題解決を目指す取り組み。先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所長の齋藤直人教授がプロジェクトリーダーとなり、群馬大など6大学と企業、病院など13機関が参画して、地域医療の実情や個々の疾患、生活様式に応じた在宅治療システムの開発を目指します。医療従事者の働き方改善にもつなげて、地域での安定的な医療提供体制を構築。超高齢社会に向けて「低医療費で長寿」という長野モデルをアップデートさせる試みに注目が集まっています。健康長寿「長野モデル」をアップデート「長野モデル」が生まれた背景には「健康増進に対する地域の草の根活動や医療政策があります」と青木准教授。長野県では1967年、全国に先駆けて食生活改善推進員が組織化され、減塩の取り組みなどを進めてきました。佐久市のピンコロ運動などに代表される地域活動や県の医療施策展開も、予防や健康増進の観点では特筆信州大学学術研究院(保健学系)准教授2001年信州大学医学部医学科卒業。2009年信州大学医学系研究科博士課程修了。2013年信州大学医学部附属病院リハビリテーション部。2015年より現職すべきもの。これらの取り組みにより、健康寿命や高齢者の就業率が高い数字を示す一方で後期高齢者の医療費が少ないという「低医療費で長寿」の長野モデルが実現しました。スマート在宅治療プロジェクトでは、長野県におけるこうした従来の取り組みに「治療」の視点を加え、長野モデルのアップデートを図ります。長く続けられてきた予防や「未病」への対策に加え、病気を抱えてもライフスタイルを崩さずに生活できる住む場所によって医療の制限を受けない、医療従事者に負担がかからない地域社会をつくること。地域の課題を解決し新たな長野モデルを構築することがプロ青木 薫病院に行かなくても医療が受けられる。2021年度科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム(地域共創分野・育成型)」採択、2023年「本格型」移行を目指して。病気をしても家で治療がうけられる、治療しながら外出できる、仕事もできる「スマート在宅治療」プロジェ

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