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株式会社 八幡屋礒五郎 製造部 農業部門 畠山 佳奈実 さん(2018年入社)信州大学大学院総合理工学研究科農学専攻生物資源科学分野修了植物遺伝育種学研究室の皆さんとは、長い時間をかけてトウガラシの新品種開発に取り組んできました。2016年に最初の共同開発品種“八幡屋礒五郎M-1(商標:信八)”が登録された後も、七味唐辛子としての処理加工特性や品質などに着目した新しい品種の開発を進めています。そのような活動の中で昨年は、トウガラシ生産者にオリジナル品種“信八”を栽培してもらい、実際の栽培で感じたことを聞き取り、近藤さんをはじめとした開発担当者の皆さんにフィードバックするという機会を設けました。共同研究する過程で私たちが良いと思って育成してきたことが生産者には響かなかったり、反対に「こういう声が多かったけど、今開発中の品種ならそれをカバーできるよね」と新しい発見にもつながったり、充実したディベートができたと感じています。近藤さんはトウガラシに関する知見も広く、育種の方法のアドバイスはもちろんのこと、最新のトウガラシ研究事情についても教えてくださいました。私たち現場に近いものと、近藤さんのようにトウガラシ研究に明るい方、双方が協力して研究することで、多角的な育種につながることが実感できた1年でした。この経験から、さらによりよいトウガラシ品種の開発に努めたいと思います。製造部農業部門のスタッフ。右端が畠山さん。広大な八幡屋礒五郎「信八畑」。トウガラシの鮮烈な赤が美しい。04※手にするのは七味缶スツール躇はみじんもなく、快諾が得られたとのこと。自社だけではなく、広く業界全体の未来を見据え、行動する。そんな老舗企業の懐の深さを感じさせるエピソードには事欠きません。松島教授の研究室の卒業生も社員として活躍していることから、近藤さんにとっても馴染みやすい環境だったようです。もちろん仕事面では妥協がなく、とくに数字に関わるデータのチェックは厳しく行われました。「納品するデータに間違いがないか、しっかり確認する習慣が身についた」という近藤さん。アルバイトや単なるインターンシップとは違う、共創フェローとして参画したからこそ得られた経験が数多くあったといいます。支援金と研究費が支給されます。「経済面がいちばんの不安だったので、本当にありがたかった」と、ほっとした表情をのぞ実は、近藤さんは、ししとう研究の論文で園芸学会年間優秀賞を受賞するなど、頭角を現し始めた学界の注目株。目指すは、研究者への一本道です。しかし、優秀な学生ほど研究に没頭しがちになるもの。「信州産学共創フェローシップ制度は、自分の研究以外にも目を向け、視野を広げる良い機会になったはず」と松島教授はいいます。信州産学共創フェローシップ制度の細やかな支援を通して成長した近藤さんが、ししとうドクターとして、さらに飛躍する日が期待されます。かせる近藤さん。さらに、メンター教員との面談を通して論文の書き方や進路についてアドバイスを得たり、同じフェロー仲間との交流会で刺激を受けたりするなど、キャリアパス支援も有効に活用したそうです。近藤さんも「企業の現場で、どのような悩みがあるのかを知ることができて良かった。研究はそういう課題を背景に取り組むべきものなので、研究者を目指すうえで貴重な財産になりました」と話します。*'0()博士課程の学生が共同研究に参画したこの1年を振り返って…近藤 文哉 さん(博士課程2年)信州大学大学院総合医理工学研究科総合理工学専攻生物・生命科学分野見えてきたキャリアパスワン&オンリーの「ししとうDr.」を目指す!信州産学共創フェローシップ制度では、経済的支援として、不安なく研究に励めるように授業料が免除されるほか、研究専念

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