信州大学先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所金子克美特別特任教授、R.Kukobat特任助教(現バニャルカ大学所属)、田中秀樹教授、大塚隼人研究員、林卓哉教授を中心に、早稲田大学、ファインセラミックスセンター、米ミシガン大学の協力を得た研究グループは、クリーンエネルギーとして喫緊の必要性の高い水素の精製において、極めて高速で水素を分離できる分離膜を開発しました。膜分離は省エネルギーのため最も期待されている分離技術ですが、残念ながら省エネルギー技術として成り立つに必要な高速分離ができる分離膜は十分には開発されていません。今回の研究で開発されたグラフェン包接ゼオライト分離膜は従来の分離膜の分離速度の約100程度の高速性を持ちながら、水素/メタン分離係数は200以上という高性能を示します。この分離膜は省エネルギーで水素を分離できますので、クリーンな水素エネルギー社会の構築に大きく貢献できます。また、二酸化炭素の分離性も優れているため、二酸化炭素の省エネ分離技術実現にも有望と期待されます。今回の研究成果は米国科学振興協会(AAAS)「Science Advances」誌に2022年5月に掲載されました。軽度認知障害は健康な状態と認知症の間の状態であり、高齢者の1-2割が発症していると推定されています。この状態は元の状態に回復することもあるため、軽度認知障害であるかどうかを確認することは将来の認知症予防にとって重要です。おぶせスタディ脊椎グループは過去の研究で高齢者では運動機能低下が認知機能低下とともに起こってくること、運動機能低下が姿勢の変化として表在化してくることを明らかにしており、高齢者特有の姿勢変化をとらえることで認知機能低下をスクリーニングできるのではという仮説を立て、その仮説が正しいことを突き止めました。詳細は信州大学医学部webサイトでご覧ください →17グラフェンで包接したゼオライトの電子顕微鏡画像図:検査によって評価された脊柱の姿勢。左は脊柱の前後バランスがとれた姿勢で、中央と右は上半身が骨盤に対して前方に出ており、重心が前方化している。高齢になると重心は前方に移動する傾向がある。これを評価することにより、認知機能の軽度低下を検出することが可能。超高速で水素を分離するグラフェン包接ゼオライトの分離膜を開発作業療法士 西村 輝さんの住民運動器検診における認知機能低下スクリーニングに関する研究論文がScientific Reports誌に掲載信州大学医学部運動機能学教室と附属病院リハビリテーション部は2014年より小布施町、新生病院と共同して住民運動器検診による疫学研究「おぶせスタディ」を行っております。おぶせスタディの脊椎部門研究グループである信州大学医学部附属病院リハビリテーション部西村輝作業療法士は、リハビリテーション部池上章太講師、運動機能学教室髙橋淳教授らとともに、50歳から89歳の一般住民を対象とした検診で、放射線学的アプローチに基づく脊椎矢状面バランス評価により認知機能低下のスクリーニングが行えることを明らかにし、2022年5月、国際学術誌Scientific Reports(Impact factor 4.379)にその成果を報告しました。金子 克美 特別特任教授らの研究グループが
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