課題07高機能装置型呼気・唾液センシングデバイスの基礎研究課題08課題09生理学的データ統合システムの構築課題10課題11医療用ウェアラブル発汗計の研究開発心臓植込み型ペーシングデバイスにおける双方向性遠隔モニタリングシステムの確立弱代謝性糖類を利用した生体内におけるがん細胞の増殖を抑制する新規バイオデバイスの設計及び再生医療用細胞の利便性向上のための細胞維持技術開発患者レジストリ情報管理システム医療機器の製造販売後に患者レジストリ情報を簡便に入力できる。【図】生理学的データ統合システム図キーワード検索ツールボックス医療機器の開発開始から製品化に必要となる生体安全情報が検索できる。材料・素材、部材・モジュール、機器本体、周辺技術などに分類されている。例えば「チタン」で検索するとどのような生体材料に使用されているか、その安全性情報などを得ることができる。人工内耳は補聴器とは異なり音の振動を電気信号に変え、直接聴神経を刺激することで重度難聴であっても日常生活レベルの聞こえを得ることが可能。信州大学学術研究・産学官連携推進機構(SUIRLO)学術研究支援本部長/オープンイノベーション推進室長教授/学長補佐 工学博士。信州大学大学院医学研究科助手、信州大学産学官連携推進本部准教授などを経て、2015年より、信州大学学術研究・産学官連携推進機構(SUIRLO)教授および同機構の学術研究支援本部長。研究所長の齋藤直人教授は振り返ります。企業の出資を得て共同研究を行うマッチングファンド。医療機器開発の加速という目的には賛同を得られても大型出資となると難しく、枠組みができるまでは苦労の連続だったといいます。それまで国内で行われてきた産学連携の共同研究は金額規模が小さく、大きな成果に結びつきにくいものでした。それらの件数が多ければ研究者の時間が費やされ、他の研究が進まない悪循環が生じます。信州大学学術研究・産学官連携推進機構学術研究支援本部長の杉原伸宏教授は、OPERAプログラムでは、国がそうした実態への反省に立ち、企業から大型の研究費拠出を得た上で、プロジェクトとして共同研究を進めていく狙いがあると話します。「学術的な論文が出るような本格的な共同研究を組織対組織の連携で推進していく。そのモデルケースとなる事業を今回、パイロット的にやらせてもらった」(杉原教授)。このプロジェクトでは、運営管理などにかかる「間接経費」を当初から30%と設定。信州大学では段階的に間接経費を40%まで上げていく方針を明らかにしていますが、大学の中で研究費とともに管理的・戦略的な経費をしっかり確保して研究環境の整備を図る取り組みも先進的なものでした。将来の研究人材育成を見据えて、優秀な大学院生を「アドバンスト・リサーチ・アシスタント」として雇用し生活費に相当する金額を支援する制度も導入。「プロジェクトに参加した大学院生が参画企業に就職する、大学発ベンチャーを起業し本プロジェクバイタルサイン組み込み型装着型小型デバイスは、手首にリストバンドを巻くだけで複数のバイタルサインが計測でき、PCにて確認可能。補助人工心臓を改良し薬事承認を取得。従来の脱血管は左心室内部に飛び出しており、その付近で血液がうっ滞しやすく血栓形成のリスクが高かった。(左:従来型、右:改良型)することで、国内の医療機器開発が大きく加速することが期待されています。組織対組織、本格的な共同研究のモデルケースに(杉原教授)JSTのOPERAプログラムに採択され、プロジェクトがスタートしたのは2017年。その前段、プロジェクトの構築段階では、コンソーシアムに参加する企業を集めることが大変だった−と領域統括を務める信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカルトに参画する、など予想外の好事例も生まれた」(齋藤教授)といいます。持続的な研究開発基盤を創出するためのさまざまな仕組み作りが行われました。共創コンソーシアムの規約双方にメリットがある仕組みを(齋藤教授)生体埋込型・装着型デバイスなどの治療系医療機器開発はこれまで、企業や大学が個別に研究開発し、得られた知見は組織内で共有・蓄積されてきました。そのため類似機器の開発であってもゼロからスタートしてデータを積み重ねていくしかなく、開発が進まない要因となっていました。今回のプロジェクトでは、17企業8大学が共創コンソーシアムを形成し、一体的な体制のもとで11の研究課題に取り組みました。「プロジェクトが成功した理由の1つはコンソーシアムのチームワークの良さ」と齋藤教授。全ての研究機関と企業がプロジェクトの運営に積極的に協力してくれた、と評価します。その背景には、学内外のさまざまな機関が参画し運営していくための規約整備がありました。「コンソーシアム形成により産学官の連携をより密にしていく仕組みづくりが必要。コンソーシアム内での情報共有や秘密保持に関する仕組みや基盤ができた」(杉原教授)。「大学と企業双方にメリットがある仕組みが必要。特許のルールなどをきちんと作ったことでコンソーシアム運営が非常にうまくいっ04杉原 伸宏プロジェクト実施により実用化が進んだ医療デバイス
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