長野県内30局のCATV各局が地元の特産である伝統野菜の歴史や特徴を映像に収録、伝統野菜を研究し、信州伝統野菜認定委員長である信州大学農学部松島憲一教授が、それぞれの伝統品種にまつわるエビデンスを提供、動画コンテンツにして情報発信することで、各地域の食ブランドとしての訴求やシビックプライドの醸成にもつなげるプロジェクト。2年間で計16作品が制作され、各年度ごとに総集編として2つの番組が放送されました。②野沢菜(野沢温泉村)⑥羽広菜(伊那市)⑧ ていざなす(天龍村神原地区)昭和初期から上水内郡信濃町で栽培されており、標高600m〜800mの涼しい土地が栽培に適している。ピーマンのような外見で果肉は肉厚。とうがらしのような辛さもありながらグルタミン酸や糖度が高い品種で、豊かな甘みやうまみが特徴。果実が大きいために枝が倒れやすく、栽培ではフラワーネットなどで誘引するなどの工夫が必要だ。旬は8月半ば〜9月。郷土料理の「やたら」や味噌漬け、佃煮など様々な料理に多用される。発祥は、野沢温泉村にある健命寺の八代目住職がなにわの伝統野菜“天王寺蕪”の種を持ち込んで栽培したことが始まりというのが通説。信州の伝統野菜の中で最も知名度が高く、県内外で栽培されているが、信州の伝統野菜として認定されているのは野沢温泉村で自家採種して栽培されるものに限定されている。全国に知られる野沢菜漬けは、昔ながらの製法では発酵期間によって見た目、味わいに変化が起こり、いずれも美味。現在は発酵食品としての健康効果も注目されている。400年以上前から栽培されていたと伝わる、上田市山口地区で栽培されている大根で、フラスコのような形、硬い肉質が特徴。現在は「山口大根の会」の約30名の有志が栽培を続けている。メンバーは特に種の採種に力を入れており、採種用の大根の選別、採種用の畑の管理などに数々の工夫を施している。山口大根を残すため、会員の高齢化などの課題を抱えながらも、継続して栽培に取り組んでいる。制作:iネット飯山制作:上田ケーブルビジョン松本市奈川地区の標高1200mの高原で栽培されている。色は非常に美しい濃紅色で、円錐型の根と琵琶型の葉が特徴。かつては生産面積が激減し絶滅の危機もあったが、現在は数名の生産者が栽培。種採りも他の種と混ざらないよう細心の注意を払って行っている。後継者不足は深刻だが、観光客などに向け収穫ツアーなどを開催しながら認知向上を図っている。甘酢漬けが一般的だが、干し蕪のエゴマ和えなど昔ながらの食べ方も見直されている。栽培は明治からという富士見町乙事地域の食卓に欠かせない伝統野菜で、地域の数十軒の農家が栽培している。うりという名前はついているがキュウリで、長さは15㎝〜20㎝、幅が10㎝ほどもある太めで赤褐色のキュウリ。食べ方は、若採りの青いものを食べるのではなく、熟れてから食べるという本州では珍しいもの。果肉はカリカリとして食感や歯ざわりも良く、シンプルに醤油や味噌と和えるものが美味とされる。ほ だいらおっ ことは びろ⑭の下栗芋の産地、「天空の里」と呼ばれる飯田市下栗地区県最南端にある下伊那郡天龍村で約130年前から栽培されている。種を取り寄せた田井澤久吉の名字にちなんで「たいざわなす」と呼ばれたものが「ていざなす」へとなまって今に至るというのが通説。重さ650gにもなる巨大ナスで、加熱すると、とろけるような食感が魅力であり、“ナス界のフォアグラ”とも呼ばれている。ブランド化を目指して2007年に「天龍村ていざなす生産組合」が設立。ブランドづくりで地域が活気づく好例となっている。あし じま制作:飯田ケーブルテレビ2021制作:テレビ松本ケーブルビジョン2021制作:エルシーブイ2021制作:伊那ケーブルテレビジョン江戸時代の古書にも記述が残されている伝統野菜で、伊那市西箕輪羽広地区で栽培されている。“菜”と付くが蕪の仲間で、元々蕪より葉を食べていたため、羽広菜という名前となったとされる。野沢菜・稲核菜と並ぶ長野県の“三大漬け菜”であるが、近年では葉よりも蕪の部分が主力。羽広菜は蕪の部分が大きく立派で、上は紫色、下は白色の円錐型をしている。粕漬けなどが広く販売され好評で、地元の人たちが自信をもって育てている。20212021202120212021長野県ケーブルテレビ協議会11創薬の課題を解決する革新的な技術④保平蕪(松本市奈川地区)創薬の課題を解決する革新的な技術⑤乙事赤うり(諏訪郡富士見町乙事地域)創薬の課題を解決する革新的な技術①ぼたごしょう(信濃町)制作:INC長野ケーブルテレビ創薬の課題を解決する革新的な技術③山口大根(上田市山口地区)創薬の課題を解決する革新的な技術⑦芦島蕪・吉野蕪(上松町芦島地区・上松町吉野地区と田口地区)制作:木曽広域ケーブルテレビ吉野蕪は細長い形で外側は紅色で中は白色。ピリッとした辛みが美味しく甘酢漬けなどで食べられている。一方、芦島蕪は非常に大きく、丸っぽい円錐型。鮮やかな紅色で、さくさくした歯触りが魅力。芦島蕪の生産者は現在2軒のみだが、約10年かけて種の選別を行い、現在の生産状況になったという。現在は女性農業者が参加して蕪の加工開発、販売を行うことで、地域の活性化に一役買っている。準安定な状態である「中間体」に着目2021年〜2022年発表 全16作品CATVnagano信州の伝統野菜 映像アーカイブス
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