信州大学×CATVnaganoアナウンサーが「給食で印象に残ることは?」の質問に、関さんは、「子供たちに美味しかったとお手紙をもらうと嬉しさがこみ上げてきました。やってきてよかったなぁと思いました」と答えました。飯田スタジオからは、飯田市上村下栗地区の最大傾斜地が38度という斜面で栽培されるじゃが芋、「下栗芋」をレポート。映像の中で、長野県選択無形民俗文化財となった“エゴマ味噌の芋田楽”の食べ方が紹介されると、メインスタジオの横山先生が、「用途拡大のために伝統野菜を使ったメニューをたくさん作らせていただいたが、地元の方が食べている食べ方がベスト。昔から作ってきたものは、その特質を十分に活かしている」と指摘。平山アナウンサーも「昔からの食べ方も保存するべき〝伝統野菜〟の1つの構成要素ですよね」と続けました。それを受けて飯田ケーブルテレビの久保田淳子アナウンサーが「エゴマ味噌の芋田楽は下栗の自慢の一つですよね」と水を向けると、生産者の「下栗里の会」会長、野牧武さんは「多くの方が下栗芋のおいしさを知っているので、それを励みに頑張っていきたい」と語りました。松島教授からは、下栗芋がウイルス病になり収量が落ち込んだ際に、当時農学部教授であった大井美知男現工学部特任教授が、下栗の住民の皆さんと共に、ウイルス感染のない茎頂部分を用いた培養技術を使って感染のない下栗芋苗を栽培し、収量を上げた歴史も紹介され、伝統野菜の保全において信州大学が果たしてきた役割も浮き彫りになりました。毛賀澤 明宏氏 〈(株)産直新聞社 代表〉最後に松島教授は「信州の伝統野菜の認定には、文化の基盤になっているかどうかを大事に選定しています。地域の人々今回のシンポジウムの模様は、2022年4月11日から5月末にかけて、長野県ケーブルテレビ協議会加盟各局で放送されました。シンポジウム全編(90分)ほか、映像アーカイブ16本すべてをWEB配信しています。下記のURLよりご覧いただけますので、ぜひご視聴ください。信大動画チャンネルhttps://www.shinshu-u.ac.jp/guidance/media/movie/2022/04/catv2022.htmlがその伝統野菜を文化として大切にして、“おいしい”と日々食べているからこそ、外の地域の人も食べたくなると考えています」と信州伝統野菜認定委員会の基本姿勢を解説。司会の毛賀澤氏の「伝統的な素材を使った昔ながらの食べ方が、今日では新しいインパクトを持ち、伝統野菜の栽培・販売の収益性の拡大に役立つのではないか」という問いかけに対して、横山先生は「日本では海外式の食べ方が蔓延していますが、SDGsの時代になり、日本の伝統野菜の食べ方、その根底にある昔ながらの『一汁三菜』という先人の食の思想に注目が集まるのではないかと思っています」と答えたのが信州の伝統野菜を次世代に継承するために、その種を守りつつ栽培する皆さんと、それを〝食べて支える皆さん″との連携がますます必要になることを、現在16本になった伝統野菜アーカイブの映像群と今回のシンポジウムで明確に指し示すことができました。信大動画チャンネル印象的でした。平山 直子氏 〈伊那ケーブルテレビジョンアナウンサー・放送課長〉(※信州大学農学部卒業生)10希少性だけでなく、地域の誇れる文化としての伝統野菜映像で残す信州の伝統野菜映像アーカイブス2022
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