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伊那市のメインスタジオには、信州伝統野菜認定委員会の座長も務める松島憲一教授と、長野の郷土食や保存食に深い造詣があり、同じく信州伝統野菜認定委員を務める料理研究家・横山タカ子さんのお二人が解説者として参加。伝統野菜の保存に大きな役割を持つ農産物直売所のネットワークづくりを進める産直新聞社の代表 毛賀澤明宏氏と、信大卒業生でもある伊那ケーブルテレビジョンの平山直子アナウンサーの2人が司会進行を担当しました。中継先の3スタジオには、「小布施丸なす」(小布施町)、「羽淵(はぶち)キウリ」(塩尻市)、「下栗芋」(飯田市)の生産者の方々にお集りいただきました。本年度新たに制作した映像コンテンツは8本(※10P参照)。植物遺伝育種学が専門の松島教授の監修の下、地域の実情に詳しい県内ケーブルテレビ局が、伝統野菜の栽培松島 憲一教授 〈信州大学学術研究院(農学系)教授〉松本スタジオには、「羽淵キウリ」を10年ほど前から栽培している広田真一さんが参加。羽淵キウリは、年間に70㎏〜80㎏しか収穫されないとても貴重なキュウリで、塩尻市奈良井の羽淵地区から様々なご縁で現在は塩尻市贄川で栽培されています。広田さんからは「普通のキュウリでは物足りなくなるぐらい香りがいいので、生で食べてほしい」とおすすめの食べ方も紹介されました。テレビ松本ケーブルビジョンの中島梓穂アナウンサーが栽培の苦労について方法や歴史、食べ方やその地の暮らしぶりなどを映像として残し、さらにその映像を通して、信州大学は伝統野菜にまつわるエビデンスを提供する…信州大学と長野県ケーブルテレビ協議会との連携協定に基づくユニークな共同事業2年目の取り組みとなりました。質問すると、広田さんからは「他の種と交配すると困るので、山の麓の自分だけの畑で育てている。猿などの獣の被害は出るが仕方がない」とお話しされました。メインスタジオの松島教授はそれを受けて、「他の花粉が受粉すると、元に戻すのに何十年とかかってしまうし、それでも完全には戻らない。他の品種と混ざらないところで、大切に種採りしていくことが、どの伝統野菜でも大切だ」と伝統野菜の保存のポイントを解説しました。横山 タカ子氏 〈料理研究家〉軒ある生産者の内のお一人である関悦子さんが参加。小布施丸なすが、同町の栗ガ丘小学校の給食でも食べられているということが映像コンテンツの中で紹介され、横山先生が「給食に伝統野菜を使うことで、子供たちが味を覚え、いつか地元に帰るきっかけをつくれる」と、給食に提供する意義を指摘。須坂市のケーブルテレビGoolightの須田由理092022年3月9日、信州大学は長野県ケーブルテレビ協議会との連携協定に基づく取り組みとして2年目となる「リモートシンポジウム2022〜信州の伝統野菜への誇りと思いをつなぐ〜」を開催しました(後援:長野県)。「信州の伝統野菜を映像で残す映像アーカイブスプロジェクト」の一環で、長野県内のCATV局による今年度制作映像8本を紹介しながら、伝統野菜の保存・継承の現状と課題について信州大学学術研究院(農学系)の松島憲一教授を中心に栽培農家や関係者と話し合うシンポジウムです。昨年度に続き2回目の今回は、料理研究家の横山タカ子先生を交え、昨年度よりさらにグレードアップ。伊那ケーブルテレビジョン(伊那市)のスタジオをメイン会場に、映像制作を担った須坂・松本・飯田のCATV3局のスタジオを中継でつなぎ、映像コンテンツに出演した生産者の皆さんとともに、“食・調理”の視点も交えながら伝統野菜の魅力を存分に語り合いました。伝統野菜の食べ方や調理法も語り継ぐ文化須坂スタジオには「小布施丸なす」の7長野県の北から南のCATVスタジオを光回線で繋いで伝統野菜の原種保存のため「種採り」の重要性を強調CATVオンラインシンポジウム2022信州の伝統野菜の誇りと思いをつなぐ

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