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10月より本格的に海水淡水化実証試験を開始。信大開発膜を使った系統と、市販膜の系統の2系統を同時に運転し、実際の海水を使った比較評価を行い、開発膜の優位性を実証する。システム全体で一日11トンほどの真水を海水から作り、およそ1年をかけて、脱塩性や透水性、耐汚濁性などの膜の性能や運用コストを検証する。第7回シンポジウムをCOI拠点の中心企業である日立製作所の中央研究所内にこの年に完成した日立馬場記念ホールで開催し、一般・関係者合わせて224名が参加。社会実装に向けて加速する研究開発の概要が報告された。産業向けの水処理ソリューションの展示会「InterAqua2020」にブース出展。開発膜による浄水実験のデモンストレーションや、研究内容・成果のポスター発表を行い、約600名が信大COIブースを訪れた。また、初日に開催された遠藤研究リーダーの講演には定員を上回る150名以上の参加者があり、信大COIの研究活動への関心の高さが感じられた。タンザニア水環境改善プロジェクトで、信大COIと協力協定を結んでいるさくら女子中学校の卒業生、シャロン・トム・アヨさんが来日。COIの学習体験プログラムで約2か月間、信州大学の研究を共に行い、タンザニアのフッ素汚染水問題の解決のための方策を研究した。プロジェクト開始当初からのデザインを一新し、COI拠点が目ざす「きれいで安全な水が世界中の人々の生活を支える未来」をイメージした、クリアで明るい雰囲気のデザインに。構成も一部変更し、最新の研究開発情報やこれまでの研究成果について、より具体的に紹介。論文一覧、プレスリリース一覧、研究者一覧のページを新たに設け、当拠点の研究開発活動を広く、深く、発信している。加工した綿をフッ素汚染水に漬けるだけで、フッ素イオン濃度に応じた色変化が得られ、色変化を画像処理しスマートフォンで読み取ることで飲料水の安全性を判定できるシステムを開発。フッ素汚染に苦しむアフリカ東部でも入手可能な材料および電子部品でシステムを構築でき、さらに成果をオープンソース化し、現地での社会実装を加速する。第8回シンポジウムはコロナ禍の状況を考慮して初のオンライン開催となり、一般・関係者合わせて294名が参加。研究概況報告に続き、アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)の会員企業7社によるフリーディスカッションが行われた。今後の研究開発につながる課題の提案や、ビジネスの立場からの率直な意見が多く聞かれ、活発な議論が展開された。POU(Point of use)や浄水器用の逆浸透(RO)膜モジュールを新開発し、米国認証機関であるNSFインターナショナルの浄水膜規格「ANSI58」認証(浄水器)を国内で初めて取得。この膜を使用した浄水器は、水道水圧程度の超低圧でオフグリッド使用できるため、新たな浄水器市場の創出と発展に寄与し、脱ペットボトル化やSDGs(ゴール6)への貢献も期待される。信大COI拠点として最終となる第9回シンポジウムは初の国際シンポジウムとして開催。テーマは「環境世紀への飛躍〜Towards the Environmental Era〜」。一般・関係者合わせて延べ600名、世界12か国から参加者があり、9年間の研究成果、国内外での実証成果、今後の社会実装に向けた海外機関との連携について報告が行われた。ウォータープラザ北九州に設置した海水淡水化パイロット試験設備は、日本の実海水による実証試験を完了しその役目を終えた。今後はアラビア湾において新たな課題を模索し、サウジアラビアSWCCとの連携を推進する。学部教育は2019年度に完成年度を迎え、学部4年次生の中には工学専攻「水環境・土木工学分野」に進学する者もあり、水環境マネジメント関連のより高度な教育・研究を受けることが可能になった。COIプロジェクト最終年度となる2021年度には最初の修了生を世に送り出すことになり、水関連分野の若手研究者を輩出する強固なしくみが構築された。06海水淡水化実証試験を北九州市で開始第7回シンポジウムを参画企業の日立製作所中央研究所で開催InterAqua2020に出展タンザニア・さくら女子中学校からシャロンさん来日COI拠点ホームページを全面リニューアル綿を利用したフッ素イオン濃度計測方法を確立初のオンラインシンポジウムを開催超低圧高透水性CNF/PA複合RO膜・モジュールを開発、NSF認証を日本初取得初の国際シンポジウムをオンラインで開催、世界12か国から参加国内での海水淡水化実証試験終了、サウジアラビアとの新たな連携へ工学部改組後初の修了生を輩出、人材育成の好循環スタート202020212022

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