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本組織は、世界的な課題となっている脱炭素社会の実現に向け、広く松本地域の産学官の力を結集させ、地域性と事業性を両立したエネルギー自立地域の形成を促進する事業の展開を主導、支援することを目的としています。既に産学官の多彩な企業・組織等から参画の意思表明があり、業種・業態を超えた連携が期待されています。信州大学は本コンソーシアムの活動の中核を担い、大学がもつ高度な専門性や技術を地域に還元するとともに、地域内外の様々な組織との連携を通じて、松本地域の脱炭素社会の実現に貢献します。具体的な活動内容としては、地域主導型のエネルギー事業の確立、再生可能エネルギーの最大限導入、住宅・ビル等の省エネ技術開発と普及、電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)等の普及など、脱炭素社会の実現のために必要となる活動を幅広く実施することを計画しています。これらの分野における課題解決を通して、1つの組織の枠を超えた地域全体の脱炭素の取り組みを促進します。今後、2月下旬に開催される予定の設立総会に向けて、市内外の企業や自治体に参加を呼びかけていきます。先鋭材料研究所 古山通久教授、難波優輔研究員、京都大学北川宏教授、草田康平特定准教授、吴 冬霜特定助教らの共同研究グループは、貴金属8元素を原子レベルで均一に混合したナノスケールの合金(ナノ合金)の開発に世界で初めて成功しました。また、ナノ合金の結晶構造と電子状態を分析することにより、もとの元素の特性と異なる全く新しい個性を有することが分かりました。これは各元素が原子レベルで混合し、原子配置パターンが粒子を構成する原子数より大幅に多様になることで、粒子内の各原子が各々異なる環境となり、1つ1つが違う電子状態となるためです。本研究所の古山教授、難波研究員はこの電子状態をスーパーコンピュータを用いた第一原理計算を用いて明らかにしました。本研究は任意の金属での均一混合で、今までにない多様な元素の機能を引き出す材料の開発を可能にする研究です。また、高難度触媒反応で高い活性と耐久性をもつ新たな合金は、海洋プラスチック問題を解決しうるプラスチックをモノマーへ分解する触媒や省エネルギー触媒としての可能性を含み、地球規模の環境問題の解決へ繋がる事が期待されます。(左から)本コンソーシアムの会長を務める予定の信州大学 林靖人副学長、発起人である信州大学 中村宗一郎学長、松本市 臥雲義尚市長、副会長を務める予定の松本市 宮之本伸副市長15信州大学と松本市が合同で「松本平ゼロカーボン・コンソーシアム」を設立信州大学と松本市が合同で、松本地域の脱炭素社会の実現を目指す産学官連携組織「松本平ゼロカーボン・コンソーシアム」を設立し、2022年1月に、記者会見を実施しました。先鋭材料研究所 古山通久教授、難波優輔研究員を含む研究グループが貴金属を原子レベルで均一に混合したナノ合金の開発に成功

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