理学部研究紹介2022
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進化人類学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像松本 卓也 助教京都大学大学院理学研究科 博士課程単位取得退学後、日本学術振興会特別研究員PD、RPDを経て、2021年4月より現職。博士(理学)。専門は進化人類学・霊長類学。進化人類学・霊長類学は、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を探る学問です。当研究室では、ヒトを含む霊長類の行動観察(+ゲノム科学、安定同位体分析、非接触バイタルセンシング技術など)によって、霊長類の生態と進化史の解明に挑んでいます。生き物たちの進化の舞台であるフィールドに自身も身を置きながら、「自然が微笑むとき」を待つ、フィールドワークの醍醐味を存分に感じられる研究室にしたいと考えています。2021年4月に誕生したばかりの研究室ですので、卒業生はまだひとりもいません。研究室の目標としては、フィールドで培った発想力と忍耐力(!)、そして研究をまとめるにあたって培われる論理的思考力と文章力を、ぜひ卒業後の未来に生かしてもらいたいと思っています。本研究室では、現生のヒト(生物種としての人間)とヒト以外の霊長類の行動を注意深く観察し、比較することで、過去の霊長類の行動に関する考察を深めていきます。初期人類がどのように行動し、どのような社会を営んでいたかについて洞察を得るという点で、本研究室の営為は「最古の歴史学」と言えるかもしれません。現生の霊長類の知見を積み重ねることによって、我々人類がどこから来たのかを踏まえ、その上で人類の未来を考えられるようになりたいと思っています。28ザンティップ(母)と名付け前の子。チンパンジーはヒトに最も遺伝的に近縁な生物種の1つ。子育ての方法はヒトとどのように違うでしょうか?野外環境で温泉を利用することが報告されている霊長類は、ヒト以外ではここ信州・地獄谷野猿公苑のニホンザルだけです。170万年前の人類の温泉利用について推測する論文が近年発表されており、いま信州は進化人類学的にもホットな調査地です(温泉だけに…)。理学科生物学コース人類進化の謎解きに出かけよう

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