理学部研究紹介2022
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江島 研究室研究から広がる未来卒業後の未来像江島 輝美 助教島根大学で博士課程を修了後、2017年より現職。博士(理学)。研究分野は、鉱物学、岩石学、資源鉱物学。地球の内部の情報を得るためには、地殻変動やマグマへの捕獲などによって、地表付近に運ばれてきた岩石を調べるのが一般的です。しかし、地球内部での岩石の形成環境や捕獲してきたマグマの形成環境を正しく評価するためには、地表付近における岩石・鉱物の変質の影響も考慮する必要があります。そこで、私はこれまで、溶岩・スコリア・上部マントル・隕石を構成する主要鉱物の酸化による構造や相変化について研究を行ってきました。私がこれまで主な研究対象としてきたかんらん石は、地殻、上部マントル、隕石を構成している主要鉱物の一つです。かんらん石の鉄の酸化数やその変化によって引き起こされる鉱物の構造変化や相変化は、火成岩・マントル物質・隕石が形成した際の酸化還元状態や岩石が経験した環境変化を反映するため、地球規模での物質循環を理解する上で重要です。これまでに地球でどのような物質循環が起こっていたかが明らかになれば、今後の地球の変遷の解明にもつながってきます。 地質調査および岩石・鉱物記載を中心とした研究を推奨し、講義で習得した野外調査技術・分析技術の応用能力を身に付けてもらいたいと思っています。大学で培った能力を生かせる職に就けるよう助力するつもりです。23玄武岩に捕獲された上部マントルの一部(左図)と石鉄隕石(右図)。黄緑色の粒子は、かんらん石。地表で高温酸化した岩石。理学科地球学コース主要造岩鉱物の研究     地球内部の物質循環の解明

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