医学部医学科研究案内2022_日本語
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シナプス形成因子ニューレキシンの遺伝子をマウスの小脳で働かなくすると(TKO)、小脳の形成不全が起きて小脳が小さくなるマウスの神経細胞に遺伝子を導入している様子LOX-1は動脈硬化性疾患の各段階を進展させる蛍光を発する遺伝子が導入されたマウス大脳皮質の神経細胞血管内皮細胞を中心とした血管機能の調節メカニズムを解析することにより、循環器系の生理的、病態生理的な機能調節とその破綻のメカニズムを明らかにすることを目指しています。それを解決するきっかけとして、超悪玉コレステロール酸化LDLの受容体LOX-1を見つけました。この研究を広げ、加齢に伴う生体制御機構破綻のメカニズムとその本来の役割を明らかにし、さらには、その知見を応用した、新しい診断、予防、治療手段の開発までたどり着くのが目標です。私たちの研究室では、脳の神経と神経の繋ぎめであるシナプスの形成や機能を司る遺伝子についての研究をしています。シナプスは、近年精神疾患の原因となる部位と考えられるようになってきています。シナプスで働く遺伝子を改変したマウスを作って、マウスの脳機能を調べることで、それらの遺伝子がどのような働きをしているのか、さらには精神疾患がどのようにして引き起こされるのかを解明します。このような研究によって、精神疾患の新しい治療法が開発されることに繋がります。7・LOX-1遺伝子ファミリーの生物学的意義の解明・LOX-1ブロッカーの探索とその治療への応用・LOX-1を用いた診断技術の開発、臨床応用・老化と加齢性疾患の病態メカニズムの解明研究から広がる未来基礎研究は、それ自体が一種の目的であり、自然の仕組みを明らかにすることそのものに意義があります。しかし、それだけでなく、実際に世の中の役に立つことも同じくらい重要です。幸いにも私達の研究は、動脈硬化に関連した病気の診断や治療に、実際に役に立てる可能性が出てきました。つまり、血管のアンチエイジングから、健康長寿に近づくことを実現しつつあります。卒業後の未来像研究に参加しその経験を生かすことによって、新たな医学知識を生み出します。そして、その知識を新しい治療薬や診断薬のような形のあるものにして、実際に医療の中で使われるようにし、医療の世界を変えていくことに貢献できるようになります。・遺伝子改変精神疾患モデルマウスのシナプス機能の解析・シナプス形成因子がシナプスの機能を司るメカニズムの解明・神経細胞でのゲノム編集技術の開発研究から広がる未来・精神疾患の原因が解明される可能性があります。・シナプスを標的とした精神疾患の新しい薬の開発につながります。・精神疾患の遺伝子治療ができるようになるかもしれません。・医学研究者になることを目指します。・海外に留学して世界の研究者と同じ土俵で仕事をします。・大学の教員になります。主な研究テーマ主な研究テーマ卒業後の未来像(教授 田渕克彦)分子病態学(教授 沢村達也)分子細胞生理学“ヒトは血管と共に老いる”動脈硬化性疾患の予知と予防に向けてシナプスで働く遺伝子を研究し、精神疾患の原因解明、治療法の開発を目指します

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