医学部医学科研究案内2022_日本語
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【子宮内膜症関連卵巣癌マウスモデル】両側卵巣に腫瘍形成(黄点線)あり教室メンバーお互いに切磋琢磨し、新規知見の解明に励んでいます!是非、あなたも仲間になりませんか?【子宮体部漿液性癌担癌マウス実験】SGI-1776(Pim1阻害剤)投与により、マウス移植腫瘍は著明に縮小した(赤線)【LEGHとGASの病理】良性病変LEGHのHE画像(左)、悪性病変GASのHE画像(右)産科婦人科学教授:塩沢丹里【教授名】塩沢 丹里(シオザワ タンリ)【疾患班名】1.婦人科腫瘍班われわれは、難治性とされる婦人科癌(卵巣明細胞癌OCCC、子宮体部漿液性癌USC、子宮頸部胃型腺癌GAS)における遺伝子・生物学的な解明を目指し、新規治療に向けた研究を行っています。抗癌剤抵抗性とされるOCCCの発症に関連する新たな候補遺伝子を検出し、治療の標的になる可能性があると報告しました。また、ARID1AとPTENのノックアウトにより子宮内膜症関連癌を発症する世界初のマウスモデルを開発し、これを用いて子宮内膜症の発癌過程を解析中です。進行が早く治療抵抗性を示すUSCの予後と相関する癌原遺伝子PIM1に着目し、細胞実験および動物実験にてUSCに対しPim1阻害剤が有効であることを証明しました。予後不良で早期診断困難なGASと、類似する良性病変である分葉状頸管腺過形成(LEGH)について豊富な経験を有し、基礎および臨床研究で世界をリードしています。独自の術前鑑別診断法を確立しており、新規治療の開発に取り組んでいます。・子宮内膜症関連卵巣癌(特に明細胞癌)の発癌関連因子の解明・再発・難治性卵巣癌症例に共通する遺伝子の網羅的解析・難治性子宮体癌に対し、有効な分子標的薬(抗Pim1、抗Cyclin-A)の発見・GASの発癌機序の解明および特有の治療法の開発研究から広がる未来卵巣子宮内膜症性嚢胞を発生母体とする卵巣癌は特にアジアに多く増加の一途であるにも関わらず、その代表である卵巣明細胞癌は抗癌剤耐性で治療に難渋します。ESCやGASは比較的稀な疾患ですが、確立した治療法が存在せず未だ死亡率が高いです。私達はこれらの発生過程を研究・理解することにより、新しい予防法や治療法の開発に繋げたいと考えています。少しでも多くの難治性癌患者を救いたいと希望を抱いています。大学病院で臨床医として研鑽しながら、研究を継続したり指導することが出来ます。また、米国JohnsHopkins大学などへの留学成績もあり、さらなる活躍を積極的に支援しています。医療は急速に進歩しておりますが、未だ解決されない問題が数多く存在します。女性生殖器癌の内、特に子宮内膜癌や卵巣癌は罹患数・死亡数ともに急速に増加しており、発症・進行のメカニズム解明とそれによる新規治療法や予防法の開発は、大きな課題であります。また我が国は周産期医療の進歩により、世界で最も安心して出産できる国になっておりますが、妊娠予後に大きく作用する妊娠高血圧症候群や胎児発育不全の発症メカニズムの解明も不十分なままです。体外受精胚移植など、生殖補助医療の進歩はめざましいものがありますが、染色体異常の発生率の増加など、今後clearすべき課題は山積しております。また、未だに受精卵の着床のメカニズムは十分には解明されていません。私達は、これらの問題点を課題として、各研究班で研究に取り組んでおります。2.周産期・胎盤班3.生殖・内分泌班主な研究テーマ卒業後の未来像35研究・診療内容の概要産婦人科は周産期、婦人科腫瘍、生殖・内分泌といった、3大専門分野をもち、さらに女性のヘルスケアを加えた主に4分野からなる幅広い学問分野を有します(図1参照)。産科婦人科学は、生命の誕生から終末期に至るまで、女性を生涯にわたってサポートしようという学問体系であり、またこれを臨床現場において実践していく診療分野です。女性特有の臓器である子宮や卵巣は、その生涯において劇的に変化します。妊娠や出産は最も劇的な変化であり、ここでは正常と異常がいつも背中合わせです。このような女性特有の変化および疾患を理解し、上記の産婦人科学問分野に加えて、発生学、病理診断学、画像診断学等を駆使して診療を行っています。(チーフ:准教授 宮本 強)(チーフ:准教授 宮本 強)産科婦人科学産科婦人科学婦人科腫瘍 班婦人科腫瘍 班生命誕生から終末期に至るまで婦人科難治性癌を治す!

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