医学部医学科研究案内2022_日本語
13/48

日本で最初の知的障害児専門の遺伝外来“ID外来”!【調査で明らかにしたいこと】子どもの健康に影響を与える化学物質などの環境要因と健康への影響を調査【調査の流れ】赤ちゃんが13歳になるまで調査を行い、成長発達に影響を与える環境要因を解明細胞遺伝学研究、古典的手法から最先端技術まで!・遺伝性結合組織疾患の包括的研究、特にエーラスダンロス症候群筋拘縮型(古庄型)(MusuculocontracturalEDS-CHST14)の病態解明、治療法開発研究・知的障害・自閉スペクトラム症・てんかん・先天異常症候群・ 成人神経疾患などの遺伝子解析研究・マイクロアレイ染色体検査、FISH法を駆使した細胞遺伝学的研究・先天性多発奇形・発達遅滞の原因遺伝子解明および病態解析研究から広がる未来臨床遺伝学の醍醐味は、たった1人の患者さんの丁寧な分析から、新たな疾患を発見できることです。遺伝子解析により、原因遺伝子が解明できれば、病気の成り立ちがわかり、根治療法を開発できるとともに、今まで全くわかっていなかった生物の普遍的メカニズムを説き明かすブレイクスルーになることもあるのです。医学部を卒業後、小児科など基本領域の専門医を取得していただき、その後、信州大学医学部附属病院を中心に研修を受け、臨床遺伝専門医を取得していただきます。大学院に入学し、国内外の研究室での基礎研究を勧めています。・医学部を卒業後、衛生学、公衆衛生学の予防の領域で活動する医師になることができます。・調査結果を活かす小児科医や産婦人科医として活動ができます。・調査研究を行う研究者としての医師として大学教員や研究者になることができます。顔貌上の特徴、先天性多発関節拘縮、巨大皮下血腫などを呈する1人の患者さんとの出会い(Kosho et al., 2005; 2010)原因遺伝子CHST14を単離デルマタン4-O-硫酸基転移酵素欠損デルマタン硫酸欠損エーラス・ダンロス症候群筋拘縮型(古庄型)の発見!ヒトで初めて見出されたデルマタン硫酸生合成異常症!県内医療機関から、原因不明のID児が多数紹介独自に作成した“IDパネル”による候補遺伝子解析陰性例に対する網羅的遺伝子解析“エクソーム解析”コラーゲン細線維のゆるみが原因!4p-症候群の発症機序を解明(Shimizu et al., 2013)11遺伝医学教室は、附属病院遺伝子医療研究センターとタイアップして、ヒトの遺伝性・先天性疾患を対象とした研究に取り組んでいます。患者さんの症状を丁寧に分析し、次世代シークエンサーなど最新の遺伝子解析技術を用いて原因遺伝子変異を解明します。病気の原因が解明されることにより、これまで難治性といわれてきた遺伝性・先天性疾患の治療法開発につながります。私たちは、患者さんへのよりよい診療・遺伝カウンセリングのあり方に関する研究にも取り組んでいます。こうした包括的な研究を通じて、患者さんが健康的に、安心して暮らせる社会作りに貢献していきます。主な研究テーマ「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を2011年より実施しています。日本中で10万組の子どもたちとそのご両親に参加していただく大規模な調査です。「エコロジー」と「チルドレン」を組み合わせて「エコチル調査」と言います。赤ちゃんが13歳になるまで、定期的に健康状態を確認し、環境要因の子どもたちの成長・発達への影響を調査します。調査の結果、子どもたちが健やかに成長できる環境、安心して子育てができる環境の実現を目指します。2023年度からは12歳学童期調査が始まります。これまでの調査結果から様々な研究が進んでいます。現在進行中の研究テーマ・妊娠中の血清コレステロール値と児の神経発達との関係・妊婦の代謝・栄養状態と児のメタボロームプロファイルの関係・妊婦のフッ化水素曝露と児の喘息の関係・妊娠高血圧と児の熱性けいれんの関係・母乳栄養と児の便秘の関係・臍帯血バイオマーカーと神経発達症の関連・重金属、微量元素と神経発達症の関係研究から広がる未来エコチル調査の結果にもとづき、子どもの成長や健康に影響をあたえる原因が明らかになります。明らかになった原因物質について有効な対策を立てることで、子どもたちが健やかに成長できる環境、安心して子育てができる環境の実現を、未来に向けて実現することができるようになります。卒業後の未来像卒業後の未来像(遺伝子医療研究センター   センター長/教授 古庄知己)(教授 野見山哲生)遺伝医学衛生学公衆衛生学先天性疾患の原因遺伝子を探せ!すべては患者さん・ご家族の幸せのために!子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)~未来のこども達への贈り物~

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る