医学部医学科研究案内2022_日本語
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倒立位相差蛍光顕微鏡による培養細胞の観察Kashihara, T., Kawagishi, H. et al. (2020) JACC: BTS 5: 1057-69病理組織標本の病理診断トレーニング上級スタッフとのマンツーマンの指導が基本です基本の形態学に加えて、様々な研究手法をとります・小児心不全専用治療薬の開発・哺乳類の離乳前の循環移行を支える生理機構の解明・乳幼児突然死症候群の予防法の開発・低出生体重児の腎分化促進法の開発研究から広がる未来医学が進んだ現在でも、子供の病気専用の薬の開発は進んでいません。これは小児疾患の多くが希少疾患であり、また臨床治験が困難だからです。しかし子供は「小さな大人」ではありません。大人の薬が子供で重篤な副作用を生じることもあります。我々の研究から、新しい小児疾患治療薬が生まれる可能性があります。本教室では、多角的な視点や技術を用いた研究を行っているので、分子生物学から比較統合生理学まで研究者に必要な多くの技術を獲得できますので、有望な将来展開が期待できます。・膠原病・血管炎・腎炎:原因不明の難病研究  様々な病原微生物で活性化される自然免疫の側面から切り込んでいます。・EBウイルス関連疾患:リンパ球の悪性腫瘍や免疫病  ほぼ全てのヒトがもつウイルスが一部のヒトに病気を引き起こします。研究から広がる未来・免疫のメカニズムを介した難病の予防・治療の道筋を着けるのが目標です。・免疫を抑制する先進医療での合併症を予防します。・医科大学/医学部の病理学研究室で診断に従事しながら研究を続けられます。・ヒト疾患研究に従事した経験は他のバイオメディカル研究に役立ちます。・病理部門をもつ大病院で病理医として勤務する道が大きく拡がっています。心不全とは、心臓の異常より全身の臓器に必要な酸素や栄養が分配できなくなっている状態です。先天性の心異常を持った子供にも起こり、小児の重要な死亡原因です。特に乳幼児発症の心不全は、重篤で劇的な経過をたどります。現在小児心移植例は増えていますが、まだまだ不十分で待機症例は増える一方です。このような子供たちが長い移植待機期間を乗り越えるためには良い薬が必要ですが、驚くべきことに世界的にも小児心不全専用治療薬は有りません。私たちは、この問題を解決すべく世界初の小児心不全専用治療薬の開発を目指しています。病理学。なじみのない分野かもしれませんが、患者さんの病変部から採取した組織の中で何が起きているかを観察し、病気の正しい診断をつけることに加え、不幸にして病気で亡くなった方を解剖させていただき、死に至るプロセスを明らかにしていきます。臨床医とのカンファレンス、アドバイスを通して高度な医療に貢献しています。こうした診断の基礎を支えているのが、まさに疾患を身近にした病因・病態研究を行う病理学です。医師として患者さんの診断に関与しつつ、他科の医師に比べ格段に時間の自由がきく環境で先端の医学研究が行えます。8主な研究テーマ卒業後の未来像主な研究テーマ卒業後の未来像(チーフ:教授 山田充彦)分子薬理学病理組織学(教授 菅野祐幸)世界初 小児心不全専用治療薬の開発疾患を身近にした病因・病態研究

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