2022信大環境報告書
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北村 俊夫・きたむら としお2001年 信州大学大学院工学系研究科 私は、信州大学大学院工学系研究科社会開発工学専攻を2001年に卒業後、長野県長和町に本社を置く齋藤木材工業株式会社に入社しました。齋藤木材工業(株)は、主に信州産カラマツを使い、集成材の製造、木造建築物の設計施工まで手掛けている会社です。「豊かな山を次の世代に繋ぐ」ことを経営理念として、木材利用の用途拡大、植林にも力を入れています。会社では木造の研究室で学んだことや人脈を活かして、技術営業や商品開発を主に行う、木質構造技術者として活動しております。 木材は適切に循環すればサステナブルな材料で、それ自体が地球環境に配慮した素材になります。その木材の有効活用の一つに建築物の木造・木質化が挙げられます。2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(木促法)」が施行され、公共建築物の木造・木質化が推進されました。2021年には木促法が改正され民間建築物にまで拡大され、「脱炭素社会」の実現に向けて、木材利用が注目されています。そのような中、木造を増やすべく様々な活動をしております。 2014年から、中層大規模木造設計情報整備委員会(設計支援情報データベース Ki)の委員となり、主に構造設計者に向けて設計情報の発信をしています。 2015年から、日本建築学会の地球環境委員会の小委員会の委員となり、高村先生と木造の木材需要にリンクする木材流通のデータベース化や、木造の計画段階の指標として木造躯体の単位面積当たりの使用材積を提示しました。信州大学の卒業生で現広島大学の森拓郎准教授とも一緒に活動しております。 また、2015年に、木造業界を盛り上げたい有志が集い、社団法人の木構造テラスを設立し、構造設計者に年6回のスクールを通じ、設計情報を伝達しています。2021年にはそのスクー修士課程社会開発工学専攻修了2001年 齋藤木材工業株式会社入社2009年 信州大学大学院工学系研究科博士課程山岳地域環境科学専攻修了カラマツ集成材を用いた建築物の例(長野県立武道館)ルの内容を書籍化したものを建築技術から出版しました。内容は、これから木造に取り組む設計者に向けた実務マニュアルになっています。 2018年には、日本集成材工業協同組合の中大規模木造建築のための加工・施工技術普及検討委員会の委員となり、中大規模木造建築の加工や施工に携わる人向けにテキストを作成し、講習会で情報提供をしたり、もっと気軽に木造を計画してもらうために、大断面集成材のスパン表の作成に携わったりしています。 環境問題へのアプローチは様々あると思います。私は、木造を増やすことが環境への貢献であると強い信念を持って活動をしています。木造業界、特に非住宅分野は発展途上で、まだまだやることが多く、慢性的な人員不足になっています。これを機に建築物の木造・木質化に興味を持っていただき、木造を一緒に増やす仲間になっていただければ幸いです。カラマツの植林の様子TOPICS06環境と生きる人づくり (OB・OGの環境活動)現在の仕事と環境問題とのかかわり齋藤木材工業株式会社 北村 俊夫さん10

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