INTEGRATED_REPORT_2022_web
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Integrated Report 2022 Shinshu University52Shinshu UniversityIntegrated Report 2022国立大学法人の会計制度は、企業会計原則を基本としていますが、国立大学という公共的な性格や特殊性を踏まえて、企業会計とは異なる独特な会計制度(国立大学法人会計基準)が採用されています。企業会計では発生時に収益を認識しますが、国立大学法人会計における運営費交付金や授業料等は、その資金を用いて確実に業務(教育・研究)を遂行する義務を負うと解釈し、受け入れ時に負債計上し、その後業務の実施に伴い、相当額を収益に振り替えることで債務は消滅します。そのため、計画通りに業務を実施すれば、基本的に損益は均衡し、利益は生じないように制度設計されています。(2)国立大学法人の利益国立大学法人の利益には、「運営努力で発生した利益」と「現金を伴わない利益」の2つがあります。  「運営努力で発生した利益」とは、計画された業務を効率よく実施したことによる費用の削減や、積極的な自己収入増加を図ったことにより発生した利益です。この利益のうち、大学の運営努力によるものとして文部科学大臣の繰越承認を受けた利益は、「目的積立金」として、次年度以降の中期計画で定めた使途に従い、「教育研究診療の質の向上及び組織運営等の改善」のために使用することができます。区分国立大学法人会計官庁会計民間企業目的財政状態・運営状況の開示予算とその執行状況の開示財政状態・経営状態の開示利害関係者国民その他の利害関係者国民、住民株主、投資家、債権者等利益の獲得・国立大学法人の主たる業務は「教育・研究」等のサービス提供であり、利益の獲得が主目的ではありません。目的としない 例外的に附属病院における診療等については、利益の獲得がある程度考慮され、企業会計と同様な処理となります。目的としない目的とする・独立採算を前提とせず、国からの財政支援(運営費交付金等)があります。1.国立大学法人会計と官庁会計、企業会計との違い2.国立大学法人会計の財源(収入源)国立大学法人は、国からの運営費交付金、学生からの納付金(授業料、入学料、検定料)、附属病院収入、企業等からの寄附金、受託研究費等を財源(収入源)として運営されています。それぞれの財源(収入源)は、それぞれの性質に応じて会計処理がなされます。3.国立大学法人会計特有の仕組み(1)収益化の考え方と損益均衡を前提とした会計処理国入金時負債(債務)運営費交付金施設整備費 等業務実施相当額を収益化信州大学決算時利益収益費用授業料、入学料、検定料寄附金、受託研究費 等病院収入、雑収入 等文部科学大臣へ申請・繰越承認ステークホルダー(学生、企業、患者等)目的積立金次年度以降に使用可能国立大学法人の会計制度本学を支えてくださる多くの皆さまに、本学の財務情報の概要をご理解いただくために、国立大学法人会計特有の仕組みについて簡潔にご説明いたします。

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