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Integrated Report 2022 Shinshu University022022年12月In大学はこれまで高い教養と高度で専門的な知識を持った知識人、高度専門職人材の育成に心血を注ぎ、その過程において深く真理を探究し、新たな知見を積極的に発掘・創造してきました。そのような中で、「大学の知の活用」についても意識が高まり、2006年に教育基本法が改正され、教育や研究にとどまらず、それらの「成果を広く社会に提供」し「社会の発展に寄与」することも大学の重要な役割であると規定されました。教育や研究それ自体が長期的観点からの社会貢献でありますが、産学官連携等を通じた、より直接的な貢献も求められるようになり、大学の果たすべき第三の使命として「社会貢献」が追加されました。地域の大学、特に地方の国立大学には、学びの機能(Learning)、寄り添う機能(mutual Understanding)、つなぐ機能(Connecting)、知の拠点機能(Knowledge)、そして産みだす機能(Yield)の5つが求められています。私は、これらの頭文字を繋げて“LUCKY”と呼んでいます。信州の発展と共に信州大学が歩んで来たことは、この地域そして本学にとってもラッキーであり、このご縁を大切に、信州の未来も私たちにお任せください、といった意味を込めています。この“LUCKY”を合言葉に、信州大学は地域の総合大学としての強みをいかんなく発揮し、5つの機能をバランスよく担ってまいります。   この度のコロナ禍は、信州大学がこの地域に存在し、そこで様々な「場」を提供することの意味(存在価値)を改めて問いただす好機となりました。近年、脱炭素社会の実現を目指したグリーン・トランスフォーメーションへ向けた議論が盛んに行われるようになってきましたが、それと連動して、大学にはポストSDGs社会を見据えた新しいムーブメントを巻き起こすことが期待されています。このように、大学には今後ますます、多様な学問分野、業界、世代、そして地域社会に分散している「人」や「知」を集約、結集し、社会にインパクトを産み出すイノベーションハブとなることが求められるようになることでしょう。本学においても「知」の創造だけではなく、社会と深く連携して「人」や「知」から派生する新しい価値の共有・定着の役割を果たす必要があると認識しています。本年度から6年間の第4期中期目標期間が始まりましたが、それにあわせて「信州大学改革実行プランinGEAR」を策定しました。これは、第4期中期目標期間において、信州大学の価値創造と社会的責任を果たすため、各理事・副学長がそれぞれの担当する目標とそれを実現するためのMethod(手段)を示した、具体的な行動計画です。inGEARとは、“inGenious, Enterprising and Actionable Regional revitalization(独創的、進取的かつ能動的な地方創生)”を原型とした造語であり、この理念のもと、プランを着実に遂行するとともに、地域と大学を連続的に一体化し、人や地域社会との繋がり(ステークホルダーエンゲージメント)を強め、この地域を元気に、そして豊かにしてまいります。そして、信州大学が真の地(知)の拠点となるよう、これまでよりもギアを一段上げて大学経営に臨み、信州大学のブランディングを確たるものにしてまいります。信州大学が持続可能かつ社会に貢献する組織であり続けるためには、日々の教育研究活動を通じて、ステークホルダーの皆様と根気よく対話し、成果や価値観を共有し、一体感を醸成することが何より大切です。この統合報告書を通じて本学の心意気(フィロソフィー)と成果、財務状況等の現状についてご理解を深めていただければ幸いです。変わらぬご支援、ご協力をお願いして、巻頭の挨拶と致します。 大学の使命信州大学の果たすべき役割信州大学改革実行プランinGEAR統合報告書の発行にあたって学長挨拶エンゲージドユニバーシティ、信州大学の存在価値

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