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ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報Integrated Report 2022 Shinshu UniversityPRODUCTSTOPICS17ナノファイバーを製造している様子。写真中央のノズルから常にポリマー溶液が流れ出る。ナノファイバー繊維を拡大したもの。高い空隙率を確認できる。信州大学繊維学部が誇るナノファイバーは太さ100nm(ナノメートル)以下。髪の毛の500分の1という細さです。100分の1程度のマイクロファイバーと比べ、薄く、軽量で滑らかという特長があります。また、微細なポア(孔径)により液体の透過性、吸水性が高く、さらに材料の選択によって撥水性等の機能付与も容易。テキスタイルのみならずメディカル、電気・電子、農業の各分野で活用されているだけでなく、現在は自動車産業、次世代電池の分野でも幅広く研究開発と社会実装が進んでいます。信州大学発ベンチャー「ナフィアス」金翼水教授が開発したナノファイバー不織布とその製造の技術を基に2015年に設立されたのが信州大学発ベンチャー「ナフィアス」です。同社は、ナノファイバーを使用した製品の研究開発・製造販売を手掛けており、ナノファイバー不織布により高い防護性と呼吸のしやすさなど快適性を両立したN95ナノファイバーマスクの商用化を実現しています。大量生産により作製された幅160㎝のナノファイバーの膜の横に立つ金教授信州大学先鋭領域融合研究群国際ファイバー工学研究拠点長、信州大学学術研究院(繊維学系)教授 金 翼水高性能ナノファイバーマスク製品群が、社会経済、国民の健康維持、生活の質の向上に寄与したとして、その功績が認められ、今回の受賞へとつながりました。同製品群は、新型コロナウイルス感染症の感染防止、まん延防止にも大いに役立っています。高い防護性と快適性を両立した米国NIOSH認証N95マスクザ・ノースフェイスフューチャーライトL5LTジャケットNF0A3SPO高性能ナノファイバーマスク製品群の関係者。1列目右が、ナノファイバーの大量生産技術を確立した金翼水教授。原理自体は1930年代から知られていたものの、実際には難しいとされていた均一なナノファイバーの大量生産。2008年、世界で初めて、信州大学繊維学部はそのプラント開発に成功しました。エレクトロスピニング(ES:電界紡糸)法(※)を用い、解決が不可能とされていた、ポリマー溶液の粘度に起因するノズル詰まりを、45度の角度でカットしたノズルと原理を応用し溶液を流出させ続けることで解決。特許を取得しています。(※)注射器(シリンジ)の中にナノファイバーの原料であるポリマー溶液を入れ、高電圧を与えてポリマー溶液を帯電させ、静電爆発を起こすことでナノファイバーを作製する製造法。ナノファイバーを採用した製品群令和4年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞シャインマスカット用の果実袋ザ・ノースフェイスアサルト2フューチャーライトNV22002(テント)高機能を誇る画期的な超極細繊維、〈ナノファイバー〉がより快適な未来を紡ぐ大量生産が可能で極限まで細いナノファイバーの応用は無限大不可能を現実に…世界初となるナノファイバー量産化装置の開発に成功研究活動実績新規分野で次々に製品実装、注目の信州大学発ナノファイバー医療・スポーツ・レジャー、電気電子、そして農業、自動車産業…次々にナノファイバーを搭載した製品が社会実装されています。02

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