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16Shinshu UniversityIntegrated Report 2022PRODUCTSTOPICSCNT搭載バッテリーの量産化のために、信州大学発のベンチャー企業として信州ボルタ(株)が設立されました。同社は、現行より高容量長寿命のリチウムイオン電池、コストダウンを実現させる単層CNT活用技術を開発。ドローン開発プロジェクトでさらなる性能向上を目指すなど、実装を視野に精力的に活動しています。信州大学が開発した新しい高性能リチウムイオンバッテリーは、銅の1,000倍以上という高い電流密度耐性を持つカーボンナノチューブ(CNT)を採用したもの。このナノテクロノジーの花形を導電・低弾性バインダーの形で正・負極に使用したことで、飛躍的な容量アップと充電時間短縮が実現しました。例えば電気自動車に搭載すれば、充電時間が短いだけでなく圧倒的な長距離走行(長く使う)をも約束してくれるという夢の高出力リチウムイオンバッテリーです。また、商用化のための大量生産とそれによるコスト削減に向けて、世界の自動車産業界が求める高性能バッテリーの研究開発から製品化をシームレスに実施信州大学発ベンチャー「信州ボルタ」密閉された装置内で乾燥させているCNT電極を見つめる是津教授信州大学学術研究院(工学系)教授先鋭領域融合研究群ELab2センター長工学部物質化学科信州ボルタ(株)技術顧問是津 信行さらなる高容量、急速充電特性を持つナノカーボンバッテリーを開発するとともに、製造過程におけるドライコーティングプロセス(※1)への適用にも注力するなど、開発だけでなく社会実装に向けても本学の素材技術がいかんなく発揮されています。さらに山岳輸送用ドローン開発に参加して、低温下での能力の改善や小型軽量化、長寿命(永く使う)も追求。ドローンや小型飛行機では、それらが極めて高いレベルで求められるため、今もなお着々と新しい技術を蓄積しています。本学は世界的な脱炭素化の流れによりバッテリー需要が拡大する中で、究極的には“長く”だけではなく“永く”使える電池の開発を目指します。(※1)機能を付与するための物質を液体でなく個体のまま基材に塗布する技術次世代のリチウムイオンバッテリートヨタ・プリウスのバッテリーを製造するプライムアースEVエナジー社の製品をベースに電極に改良を加えた、次世代ハイブリッド車用リチウムイオンバッテリー(展示用)。次代クラスター研究センター(第二期)発足次代クラスター研究センターは、先鋭領域融合研究群の次代の研究所(拠点)を目指す研究グループです。2021年10月に、第二期として「ELab²(※2)」、「遺伝子・細胞創薬デザインユニット」、「応用微生物学ルネサンスセンター」の3つの研究センターが発足。CNT搭載バッテリーの開発はELab²で行われています。(※2)Energy Landscape Architectonics Brain Bank次代クラスター研究センター(第二期)発足の記者会見の様子。左から3人目が是津教授。カーボンナノチューブIntegrated Report 2022 Shinshu University高容量・急速充電・コストなど、課題を解決する信州大学発の高性能バッテリーCNT搭載の高性能バッテリーが自動車産業を変える信州大学が強みを持つカーボンナノチューブ(CNT)を電極に使用し、高性能・高出力の新たな高性能リチウムイオンバッテリーの開発に成功しました。

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