保健学科 研究紹介2022
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清水東高校、東京大学医学部保健学科卒業。看護師を経て滋賀医科大学に助手として勤務。東京大学大学院修士課程・博士課程修了(保健学)。筑波大学を経て2021年に着任。日本医科大学看護専門学校卒、同大学付属病院、長野県がん検診救急センター救急部勤務。東洋大学文学部教育学科卒、信州大学大学院人文学研究科修了、同医学系研究科在学中。 遠隔看護(テレナーシング)という用語が浸透しつつありますが、ネットワーク速度と使用デバイスが発展するスピードのほうが目覚ましく、そのありあまるポテンシャルの活用方法はいまだ模索中で発展途上の研究領域です。コミュニケーションの距離の短縮化、時間の短縮化がケアにどのような成果をもたらすかの考察が必要です。 装着している指輪やイアリングがストレスレベルを判定して注意を発する。はめている腕時計や眼鏡が循環動態や呼吸の状態を査定してかかりつけ医に知らせる。技術的には遠くないうちにそうなると思われますが、そのとき看護が果たす役割はなにか、を考えています。 【近赤外分光法を用いた前頭葉代謝解析による高齢者の回想想起と想起刺激の効果に関する研究】昔のことを繰り返し懐かしく思い出す回想は、認知機能低下を防いだり気分が良くなるという効果があると言われています。そこで、回想が脳活動や自律神経の働き、心理面にどのような変化を起こすのか測定し、回想の効果を明らかにすることを目指しています。研究がうまく進めば、高齢になることによる脳の活動低下や気分が落ち込むのを防ぐ方法が分かるかもしれません。 その他【主観的健康感に関する研究】【椅座位が下肢に及ぼす影響】【看護師のコミュニケーション能力】などの研究を行っており、その人らしい生活を送るために、看護に何ができるのか考えています。ロボットスーツHALを装着しての起立と循環動態の変化心拍変動をもとに描いたアトラクター(左)若年者(右)高齢者若年者のほうが心拍変動のゆらぎが大きいことがわかる。近赤外分光法を用いた代謝解析による高齢者の回想想起と想起刺激の効果に関する研究:測定器材を装着中看護方法論Ⅰ:ベッドメーキング演習看護方法論Ⅲ:ヘルスアセスメント演習―5―浅野 美礼 教授小林 千世 准教授研究から広がる未来 利器の使用は、生活を豊かにすることを目指して邁進した結果、人間が持っていた機能の退化を招くリスクが潜んでいるかもしれません。看護は本来ベッドサイドワークができてこそ患者の安心安全安楽をもたらすものです。ベッドサイドワークは意思疎通の確保と臨機応変の技術です。ICTがどういう形でこれに貢献できるのか、阻害しないのかに注目しています。卒業後の未来像 病院で看護師であるあなたと出会った患者さんにとって、あなたが人生で出会った最後の人になるかもしれません。出会えてよかったと思っていただけるような仕事ができるように、日々精進を重ねてください。研究から広がる未来 認知機能の低下や気分の改善に効果があると言われる「回想」の効果を、脳活動や自律神経機能、心理尺度などを用いて明らかにしようとしています。その成果を、高齢になっても誰もが『その人らしく』生活できるような支援につなげます。 療養生活を支援する「看護技術」の効果を客観的に評価し、看護ケアの質の向上や看護基礎教育における学生の看護技術習得につなげます。卒業後の未来像 療養生活を送る対象が「その人らしい生活」を送ることができるよう、質の高い看護ケアを提供できる看護職を目指します。ケアする人として、看護の知識や技術の向上だけでなく、人との関わりや態度、こころも磨きましょう。目指すところは「ケアリング」。基礎看護学基礎看護学看護学専攻基礎看護学領域看護学専攻基礎看護学領域看護技術とコミュニケーションのあいだ、その向こう「いつでも、いつまでもその人らしく生きる」を支援したい

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