保健学科 研究紹介2022
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山梨医科大学医学部看護学科卒業。同大学院医学系研究科修士課程修了。山梨大学大学院博士課程修了(看護学博士)。2007年に信州大学医学部保健学科に着任。弘前大学医学部保健学科看護学専攻卒業。信州大学医学系研究科修士課程修了(医科学修士)。長野県保健師として勤務。2013年に信州大学医学部保健学科に着任。 健康になることが人生のゴールではありません。その人らしい生活を通して、QOL向上を実現することにあり、健康はそのための手段の一つです。そのQOLには、ストレスや生活習慣、主観的な健康観など様々な要因が関係しています。近年は格差社会と言われ、賃金格差だけでなく、健康格差も大きな問題となっています。そのような厳しい生活環境の中、人々のQOLが、ストレス、生活習慣などとどのように関連しているかについて研究しています。また、健康を支援する保健師の実践能力向上に向けた教育プログラムの研究・開発にも取り組んでいます。 乳幼児期は「人」のこころや身体の基盤をつくる大切な時期です。この時期の親や家族の関わりはとても重要で、子どもだけでなく親も人間的に成長が必要となる時期でもあります。 しかし、近年増加している乳幼児虐待の背景には、育児に自信がなく不安を抱え込むなどの育児力の未熟さや、家族で育児に取り組めず負担が偏っている状況、障がいや病気によって育てにくさを持つお子さんの育児等が複雑に関連します。そこで、育てにくさを持つお子さんのお父さんの育児をテーマとして、実際の育児状況や心情・意識、家族内や社会との関係性を調査することで支援ニーズの明確化や親になった後のライフプラン設計などの提案を目指しています。卒業研究の学内発表会の様子。それぞれが取り組んだ研究の成果を緊張しながらも自信と達成感をもって発表している。保健師コースの学生が実施した健康学習会(減塩について)。赤ちゃんの「発育」をみるための技術を学ぶ演習の風景家族の笑顔は子どものこころの成長に不可欠新任期の保健師を対象にした研修会。地域の課題について住民の方々とディスカッションをする―17―五十嵐 久人 准教授石田 史織 講師研究から広がる未来 WHOは「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。世の中には大きな病気を持ちながらも生き生きと過ごし、QOLの高い方も多くいます。QOLの研究は、健康とは何かを考え、その人らしい人生を過ごすための基礎となるものです。卒業後の未来像 保健師は対人援助職として、多くの困難に直面しますが、はじめから一人で解決することは難しいので、抱え込まず、誰かに相談する。そして、専門職として、常に疑問を持ち、根拠を探求する姿勢を持ちましょう。研究から広がる未来 「育てにくさ」をもつ発達障がいのお子さんの育児を切り口に、育児をするすべてのご家族に汎用できるような育児支援を提案します。 また、育児をとおしてご両親自身も成長し、家族全員が笑顔でそれぞれの人生を楽しめる力を養えるよう応援します。 そして、お子さんと家族にとって大切な時期を充実して過ごしてもらうため虐待予防も視野に入れ、社会的支援の実施につなげます。卒業後の未来像 地域で暮らす人々の生活に入り込み、赤ちゃんからお年寄りまで全ての住民の健康な暮らしを「予防」の観点から支える立役者「保健師」として将来活躍する人を目指せます!「保健師」は、保健所・市町村保健センター・企業など病院とは異なる場で活躍します!公衆衛生看護学公衆衛生看護学看護学専攻広域看護学領域看護学専攻広域看護学領域その人らしい健康的な生活を実現するための要因を考えるこどもの笑顔と成長を支えるために家族の「育児」と「育自」を応援する

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