保健学科 研究紹介2022
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信州大学医学部保健学科看護学専攻卒業、同大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了(看護学修士)助産師での病院勤務を経て2015年医学部保健学科看護学専攻着任、現在に至る。東京都中央区の保健師、JICA母子保健専門家としてインドネシア経験後、看護教育に従事。東洋大学大学院社会学研究科後期博士課程修了。 オキシトシンは脳下垂体後葉という部分から分泌されるホルモンです。これまでの研究では、陣痛を起こしたり母乳分泌を促進したりする作用があると言われてきました。近年、対人関係に関与することが明らかとなり、さらに、リラックスをさせたり痛みを緩和する作用があることがわかってきています。一方、過剰に分泌されることによって攻撃性が増加することなども少しずつわかってきました。オキシトシンがヒトにどのように作用するかが分かれば、看護・助産ケアに活用できるのではないかと考えています。現在は検査技術科学専攻の先生にご協力いただき、唾液や血液からこの濃度を測定する研究をしながら、母子の愛着や精神的安定性についても研究しています。 公衆衛生看護は、地域社会をフィールドにしています。健康的で幸せな生活を住民の皆さんに送ってもらうために、保健師という職種で働いている看護職を育てます。様々な病気は、社会的要因(経済・教育・人間関係など)が関連しています。病気に目を向けるだけでなく社会のありようにも目を向け解決策を探る学問領域です。国際保健の目指すところも、同じです。専門家にやってもらうのではなく、自分達で行う力(エンパワメント)を持つ住民をどう育てるかが重要です。ネパールでのフィールドワークで子どもの健康問題をどう解決するかや、国内の保健師の教育などに研究の視点をおいています。実験室でのオキシトシン濃度測定の様子ELISAキットを用いた比色競合法による実験プレート公衆衛生看護・国際看護で利用している教科書類ネパール: プログラム参加の 保育園のこどもたちお母さんは赤ちゃんを大切そうに抱っこネパール: 学生による 歯磨き健康学習会―16―鮫島 敦子 助教奥野 ひろみ 教授研究から広がる未来 看護ケアや助産ケアを実践する際に、ヒトの体の仕組を知ることはとても大切です。助産師が試薬や実験機器を取り扱うイメージは薄いかもしれません。周産期に重要とされているオキシトシンに注目し、助産師として研究することで、お母さんや赤ちゃんへのケアがより充実し、順調な育児や近年増加している虐待を予防するケアにつながる可能性があります。卒業後の未来像 看護師、保健師、助産師どの職業にも母子ケアや家族への看護が大切です。卒業後は病院等の医療機関に就職する学生が多くを占めています。研究を通じて、根拠をもつことの大切さを学び、臨床現場に活かすことが出来ます。研究から広がる未来 住民とともに健康問題を考え、住民とともに活動を進めることのできる人材の育成を進めています。卒業生が、日本にとどまらず国際社会においても、活躍してもらえることを目指しています。卒業後の未来像 保健師として県・市町村への勤務で、地域や町を健康にするためにはどうしたらよいのか、町の施策やシステムをつくることにも関与します。このノウハウは国際協力にも役立ちます。母性看護学・助産学公衆衛生看護学看護学専攻小児・母性看護学領域看護学専攻広域看護学領域オキシトシンが及ぼす母子関係への影響に関する研究公衆衛生看護は、地域社会の中で行う健康と結びついた看護である

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