保健学科 研究紹介2022
14/40

信州大学医学部医学科卒業、医学博士。小児科医師。2022年から信州大学医学部保健学科教授。専門は小児消化器病。特に小児内視鏡、炎症性腸疾患、遺伝性消化管腫瘍。 少子化が進み、こどもを育てる環境が多様化するなか、小児医療・母子保健を担う医療者への期待は、一層高まっています。高度専門化したチーム医療の中核を担う医療者の育成、エビデンスに基づく標準的医療の普及が、こども達の明るい未来に貢献すると信じています。 私は小児科医として小児医療全般に従事し、現在はこどもの消化器内視鏡診療を専門とする小児消化器病医として教育、研究に携わっています。便秘やアレルギーなど小児によくある疾患から、炎症性腸疾患や遺伝性消化管腫瘍など希少疾患まで、こどもとご家族に良質な医療の提供を目指します。また、慢性疾患を持つこどもの移行医療の支援にも、多職種が連携し積極的に取り組んでいます。 2016年の児童福祉法の改正では、全ての子どもが「子どもの権利条約」にのっとる権利を等しく持つことが改めて明記されました。 医療に関わる私たちは、家族や多くの人たちと一緒に、全ての子どもの「豊かな」育ちを支える必要があります。医療の高度化に伴い、生まれた命のほとんどが育つようになった一方で、医療的ケアを必要とする子どもたちも増えています。どのような病気や障害を持っていても、子どもは周囲と相互作用しながら、自らが発達していく力を持っています。私は主に医療的ケアや慢性疾患の幼児の自律過程の研究や、医療機関や在宅での支援を研究してきました。子どもに関わる多くの人と一緒に、子どもの豊かな育ちの支援をしていきたいと思います。小児IBD移行期支援の会を多職種が協力し開催2021年からはCOVID19感染禍でオンラインにて遺伝性消化管過誤腫性腫瘍研究班ホームページチーム医療で安心、安全な小児内視鏡検査を提供気管切開をしている子どものケアのDVD。家族がケアをする手順だけでなく、研究の結果から、子ども目線のケアのポイント、発達に応じた自律への促しなどを解説に含めた。学会で、NICUから在宅への移行支援の研修会を実施(日本小児看護学会教育委員会)研究結果を盛り込んだ、気管切開をしている幼児の発達や生活の見通しをもつためのパンフレット―12―中山 佳子 教授平林 優子 教授聖路加看護大学卒業。同大学院看護学研究科博士前期課程、博士後期課程修了(看護学博士)。総合病院勤務、大学勤務を経て、2014年本学着任。研究から広がる未来 診断や治療法が確立していない難病をもった小児患者さんがたくさんおられます。慢性疾患を治療しながら、年齢相応の日常生活を過ごし、成人へと成長していくこどもと家族を支えていきましょう。新たな治療を待っているこども達に、未来を届けましょう。こどもの明るい笑顔とともに、一緒に研究に取り組みましょう。卒業後の未来像 チーム医療のなかで、より専門的な知識と技術を持つ看護師等のニーズが高まっています。認定看護師や認定カウンセラーを目指し、研究をしてみませんか。研究から広がる未来 これまでの研究の中で、子どもの自律を考えるひとつのキーワードとして「動機づけ」を捉えました。古くて新しいこの概念は、掘り下げる価値が満載です。子どもは外から動機づけられるだけでなく、自ら働きかけ、相互作用する中で、経験を内面化し、次の行動への動機づけを行います。小さな時期からの子どもの自律に結びつく環境づくりや関わりを考えていこうと思っています。卒業後の未来像 小児看護は、新生児から思春期まで、現在は成人移行期も含めて激変する時期に関わる領域です。成長・発達や家族看護の知識、小児特有の病態の理解、子どもに合わせたケア技術、家族をはじめ様々な職種、教育や地域との連携が必要になります。深くて面白い!小児看護学小児看護学看護学専攻小児・母性看護学領域看護学専攻小児・母性看護学領域小児期に発症する慢性疾患や難病、成人への移行医療を含めた小児看護研究すべての子どもの豊かな育ちのために―子どもの自律を支えるケア―

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る