保健学科 研究紹介2022
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【2013年】 山口大学大学院博士前期課程修了【2014年】 急性・重症患者看護専門看護師取得【2017年】 東北大学大学院博士後期課程在学中【2020年】 信州大学着任2013年 名古屋大学卒業看護師として6年間勤務2019年 信州大学着任2022年 信州大学大学院修士課程修了 “緩和ケア”と聞いて、何を思い浮かべますか? “ホスピス”や“終末期”“がん”などを連想されるのではないでしょうか。 現在、世界の救命救急センターや集中治療室では、入院早期から当たり前のように緩和ケアが行われています。海外の救命救急や集中治療の領域では、「緩和ケアとは、重篤な疾患とともに生きる患者のQOLを高めるための医療的ケアであり、患者の価値観に基づいて行われるケア」とされ、終末期や疾患に関係なく行われます。残念ながら日本の救命救急センターや集中治療室では、緩和ケアが浸透しているとは言えません。私は、患者さんの価値観を最大限尊重していくために、看護師が行うべき緩和ケアのあり方について研究しています。 私は脳神経外科病棟で働いていた時に、麻痺などの後遺症を抱えたまま退院される多くの患者さんと出会い、その後の生活を支える仕事がしたいと思って訪問看護師になりました。そして、住み慣れたご自宅でご家族と共に生活することの大きな意味と、病院とは異なる環境で療養することの難しさを学びました。 入院前から入院中、さらに退院後も患者さんの生活は続いていきますが、ほとんどの看護師はその中の一場面にのみ関わります。そこで重要になるのが「連携」です。病院と地域がシームレスに連携し、患者さんとご家族の生活を支える仕組みを作るための研究に取り組んでいきたいと思っています。救命救急センターにおける死亡患者に関する学会報告専門看護師として大学生に講義地域包括ケアシステムとは出典:厚生労働省ホームページ植込型補助人工心臓出典:ニプロ(株)ホームページスピリチュアルペインに関する国際学会の発表シミュレーターを用いた周術期看護の演習―9―加藤 茜 助教近藤 協子 助教研究から広がる未来 救命救急や集中治療は、患者さんの回復を願うあまり、ときに医療者を中心に治療や看護が進められてしまうことがあります。現在、このような状況が患者さんやご家族を苦しめ、退院後にPTSDや抑うつ症状を引き起こしてしまうということが明らかになっています。 入院早期から緩和ケアを行うことは、医療によって傷つけられる患者さんやご家族を少なくすることにつながります。卒業後の未来像 人の人生の岐路に立ち会う仕事は、そう多くありません。手術や出産、死別…、およそ人の人生に数多くは起きないであろう場面に立ち会うことが許される看護職の醍醐味を、ぜひ経験してください。そして、看護に迷ったときは、大学院で学びを深めてください。研究から広がる未来 植込型補助人工心臓を装着した患者さんの在宅療養支援について研究しています。 植込型補助人工心臓は重症心不全患者の在宅療養を可能にした医療機器です。装着者数は年々増えていますが、装着者の社会復帰には未だ様々なハードルがあります。「自宅で療養できること」の次は「その人らしく生活できること」を目指して、支援体制を構築していく必要があります。卒業後の未来像 少しずつでも学び続けることが大切だと思っています。色々なことに興味を持ち、どんどんチャレンジし、多くの人と出会って視野を広げてください。自分なりのやりがいを持って、生き生きと働く看護師になってほしいと思います。成人看護学成人看護学看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域『どんな時も自分らしく』その人らしさを尊重した救急看護の探求病院と地域が協力して患者さんを支える体制を作る

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