保健学科 研究紹介2022
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東京慈恵会医科大学卒業。東京大学大学院修士課程、筑波大学大学院博士後期課程修了(看護科学博士)。看護師として6年勤務後、西武文理大学、筑波大学等を経て2022年本学着任。長崎県立大学シーボルト校人間健康科学研究科修了(看護学修士)。2014年信州大学医学部保健学科看護学専攻に着任。 終末期を専門にしていますと、学生さんからよく「つらくなったりしませんか?」といったことを聞かれます。患者さんの最期に立ち会うことは、もちろん悲しく寂しい。でも、人生の締めくくりの大切なお時間をご一緒させていただき、私たち看護職の関わりで、その患者さんとご家族が穏やかで温かい時を過ごすことができる…それってとってもやりがいのあるすごいことだと思いませんか? 「家族って患者さんと同じくらい、時に患者さん以上に苦しんでいて辛い思いをされているんだ…」という臨地実習の時に抱いた思い、その後の外科病棟、緩和ケア病棟での臨床経験から、主に終末期がん患者さんのご家族に対するよりよい家族支援を探求しています。 健康障害をもつ成人期にある人(所謂おとな)を対象とした成人看護学を担当しています。救急医療および集中治療室、一般病棟における臨床・教育経験をもとに、これまで集中治療室における看護特性の研究や外来診療の場で提供される看護の研究をしてきました。 現在は、がん・COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする、慢性的な病をもつ人の療養支援に関心があります。現代では生活習慣病と無縁ではいられません。一病息災、患者さんご自身が病と上手く付き合い生活の質を維持し、その人らしい生活を楽しむための在宅療養サポートが求められています。ICTを活用した、医療・介護・福祉が連携する在宅療養支援システムに関する研究にも取り組んでいます。成人・老年看護学国民の皆さんに緩和ケアの正しい知識を広めるOrange Balloon Project一般病棟における標準的なケアとして実践可能で、看護基礎教育においても活用できる「終末期がん患者さんのご家族支援ガイド」を作成しました日帰りで薬物による治療を受ける患者さんに寄り添う。慢性的な病を持つ人が病院とつながっている「外来」における支援は奥が深い。外来看護実習では病棟実習とリンクする多くの学びがある。日本緩和医療学会でのポスター発表看取りケアも、様々な研究からエビデンスが構築されています―8―牟田 理恵子 准教授北條 由美乃 助教研究から広がる未来 質の高い終末期ケアは、患者さん・ご家族・医療者間で絶えず話し合いによって調整される過程であるといわれています。しかし、残念ながら国内外の調査において、必要な情報提供や対話が、十分行われているとはいえない現状が報告されています。限られた時間の中でも適確に患者さん・ご家族のニーズを捉え、質の高い効果的な支援へとつなげることのできる方法(教育)とエビデンスを構築していきたいと思っています。卒業後の未来像 今あることをただ当たり前のことと捉えるのではなく、常に何でだろう?どうしてだろう?と考えられる「感性と探求心」、そして多様な背景を持った人との関わりを通して「柔軟性と人間力」も磨き続けていってほしいなと思います。研究から広がる未来 看護学は若い学問領域のひとつです。社会学や教育学、心理学、哲学など様々な学問分野の成果が看護研究・看護実践に活かされています。   看護学を入口として周辺学問にも関心を向け、その理論を看護研究に応用することでさらに看護実践の質が高められると思います。また、多様な専門職の方々と交流することを通して視野が広がります。卒業後の未来像 看護師の活躍の場は病院、地域、行政、企業など多岐にわたりますが、現場で経験を積み起業する人も多くなっています。専門職として現場で感じたやりがいを原動力に看護を探求し、自分らしい看護実践の場を開拓することができます。成人看護学看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域終末期にある患者さんとそのご家族がよりよい最期の時を過ごせるように・・・慢性的な病をもつ人が、その人らしい生活をおくるためのケア

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